- 著者
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飯本 武志
米原 英典
小佐古 敏荘
- 出版者
- 安全工学会
- 雑誌
- 安全工学 (ISSN:05704480)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.4, pp.215, 2009-08-15 (Released:2016-09-30)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
2
環境にはさまざまな自然の放射性核種が存在する.これらの核種を含む物質は,自然起源の放射性物質(NORM(ノルム):Naturally Occurring Radioactive Materials)と呼ばれる.また,このうち何らかの人為的な過程を経て,結果的に放射線量が高くなったNORM をTENORM(テノルム:Technologically─Enhanced NORM)と呼ぶ.このような自然起源の放射性物質の存在とその特徴を概説するとともに,放射線防護学的な安全の考え方について整理した.放射線量の定義,放射線被ばくの分類の基本的な考え方(「現存する被ばくの状況」と「計画的な被ばくの状況」など)を理解し,現実の状況に適合した自然起源の放射性物質の管理方針を策定することが重要となる.現在も,世界的な議論として,その検討活動が活発に展開されている.有効かつ合理的な安全を追求するための議論には,現状実態の把握とその分析が最も急がれるところである.系統的な実地調査が十分ではない分野と,放射線安全/放射線防護分野との分野の壁を超えた強い連携,相互の活発な意見交換を強く期待したい.