著者
金城 優美 崎原 徹裕 川満 豊 国島 知子
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.351-358, 2020-08-05 (Released:2020-08-20)
参考文献数
20

【背景】卵白感作陽性の乳児に対する鶏卵の早期導入法は定まっていない.導入前のスクリーニング経口負荷試験(OFC)や導入後の自宅摂取の安全性について前方視的に検討した.【方法】生後6か月で卵白感作陽性の鶏卵未摂取例に対し加熱全卵0.2g OFC(1st OFC)を行った.1st OFC陰性例に対し加熱全卵0.2gの摂取を開始,生後9~11か月に卵白1/4個OFC(2nd OFC)を行った.各OFC結果と自宅摂取の安全性を評価した.【結果】1st OFC陽性は15/63例(23.8%)で,陰性48例中42例が自宅摂取を開始し1例が中途脱落した.8/41例(19.5%)に自宅摂取で軽微な皮膚症状を認めた.2nd OFC陽性は4/41例(9.8%)であった.各OFC陽性例は陰性例と比較しオボムコイドsIgE値が高かった.【結論】卵白感作陽性の乳児への加熱全卵0.2g OFCは陽性割合が高く,陰性例でも一部に自宅摂取中に軽微な症状を認めた.感作陽性児ではより安全な導入法の検討が必要である.
著者
国島 知子 金城紀子 紀子
出版者
一般社団法人 日本小児リウマチ学会
雑誌
小児リウマチ (ISSN:24351105)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.72-76, 2010

症例は7歳男児.剣道練習中に右足首を捻挫した.免荷療法を施行されたが,両足関節の腫脹と察痛に進展し,受傷6か月後の造影MRIで滑膜の増殖と軟骨破壊を認め, MMP-3が高値であり,若年性特発性関節炎(JIA)少関節型と診断された.受傷9か月後からメトトレキサート(MTX)少量パルス療法を開始したが,松葉杖なしでは歩行が困難となった.関節裂隙の狭小化の進行,MMP-3高値の持続に加え,RF陰性にもかかわらず抗CCP抗体の異常高値を認めた.受傷1年7か月後よりトシリズマブの投与を開始したところ,CRP, ESR, MMP-3が正常化し,関節裂隙の狭小化が著しく改善した.トシリズマブ以外の治療を中止でき,日常生活の制限はなくなった. JIAの関節予後の予測因子として抗CCP抗体の値が有用となり得ることが示唆された.また,トシリズマブは関節型JIA患者の骨・軟骨破壊を抑制して,罹患関節の構造的寛解をももたらす可能性があると考えられた.