著者
土井 泰次郎 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.457, pp.1-6, 2005-12-09
参考文献数
13

知覚に相関した神経活動を探るために, 強制2択課題を用いて弁別閾値付近でのサルの知覚判断のゆらぎとニューロン活動のゆらぎとの相関を調べる研究が多くなされている.しかし閾値付近では自覚的な知覚がなくとも弁別の成績が良いことがあるので, より直接的に知覚に相関した神経活動を求めるにはサルに検出課題をさせる必要がある.そこで本研究ではサルに図形検出課題を訓練し, この課題を遂行中のサルの下側頭皮質からニューロン活動を記録した.サルの刺激検出の成否とニューロン活動のトライアル間変動の相関を信号検出理論にもとづいて評価したところ, 下側頭皮質のニューロン活動のゆらぎは刺激の検出の成否と有意に相関していた.この結果は, 下側頭皮質の神経活動が「刺激の形が見えている」というアウェアネスに関わっていることを示唆している.