著者
土居 加奈子 足立 啓 田中 千歳
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.65-72, 2007-07-31

本研究は、認知症高齢者グループホームの一般型と言われるリビングを中心に居室がとり囲む「ホール型」平面構成と、共用空間の選択肢が多い「非ホール型」平面構成の違いに着目し、行動観察調査やPEAP評価などを通じた、比較・評価を行った。「ホール型」では、家具などを配置しているが、居場所の選択肢は限定的で、偏りがみられた。また空間内に間仕切りがないため、職員は入居者を見守り易い反面、直接の目線を嫌う入居者への配慮は十分とはいえない傾向がみられた。一方、「非ホール型」では、見え隠れするような平面計画の場合は多様な居場所を提供することができるため、入居者のプライバシーや落ち着きが保たれ、より個別的な対応が可能であった。また、居場所の選択肢が増加するに伴い、そこでの生活行為も多岐にわたることが伺えた。一般に見守りが困難と考えがちな「非ホール型」であっても、見え隠れするような空間づくりをすることによって、個別的空間を提供し、入居者により良いケア環境を提供できる空間デザインの可能性が示唆された。