著者
潮谷 有二 児玉 桂子 足立 啓 下垣 光 松永 公隆 神谷 愛子 山口 結花
出版者
長崎純心大学・長崎純心大学短期大学部
雑誌
純心現代福祉研究 (ISSN:13421506)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.43-70, 2003-07-31

本研究では、国外において1990年代以降、痴呆性高齢者のための施設居住環境を評価するために開発されたPEAP(Weisman et a1., 1996)やNURS(Grant,1996)を参考に、わが国の介護保険施設の中でも生活施設としての性格を有した社会福祉施設の一つである介護老人福祉施設(以下、特養)に適用可能な8つの次元からなる多次元尺度による痴呆性高齢者環境配慮尺度(施設版)を開発するとともに、その尺度としての有効性についても検討することを目的とした。特養のケアワーカー306人から得られたデータを基に、因子分析を中心とした項目分析をおこなった結果、8つの尺度の内,「安心と安全への支援尺度」、「見当識への支援尺度」、「生活の継続性への支援尺度」、「入居者との触れあいの促進尺度」の4つの尺度の信頼性が高く、これら4つの尺度は、日本の特養の環境配慮の実施度の測定に適用することが可能であるということを示唆することできた。
著者
松永 公隆 潮谷 有二
出版者
長崎純心大学・長崎純心大学短期大学部
雑誌
純心人文研究 (ISSN:13412027)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.133-151, 2007-03-01

本研究では、イギリスの障害者の就労支援に焦点を当てて、その状況を概観していったが、その結果、障害者就労施策は、ワークフェアとして、就労意欲を高めながら一般雇用を創出するための施策であり、その主要機関が利用者の身近な地域に存在するジョブセンタープラスであり、障害者雇用専門のアドバイザー(DEAs)が配置され、障害者の就労の専門的援助に当たっていること、(2)障害者のニューディールNDDPでは、ジョブ・ブローカーたちがネットワークを作り、各地域で雇用訓練プログラムなどを実施していることなどが明らかとなった。また、イギリス障害者差別基本法(DDA)の導入により、これまでの割当雇用制度による「結果の平等」から、「機会の平等」へと主要政策が切り替わっていることなどが明らかになった。イギリスにおける障害者雇用は比較的安定した状況にあるが、イギリスのようなワークフェアの政策には批判もあり、例えば、その代替策としてベーシック・インカムという政策の議論があることも確認した。