著者
酒井 秀樹 土屋 好司 山口 俊介 遠藤 健司
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-19, 2018 (Released:2019-09-02)
参考文献数
37
被引用文献数
2 1

両親媒性分子が形成する二分子膜閉鎖体であるベシクルは,細胞膜の構造との類似性から人工の細胞膜モデルや,ドラッグデリバリーシステム(DDS)における薬物担体としての応用の試みが活発に行われている。また,ベシクルはその内部に水溶性物質を保持可能であり,また二分子膜内部には油溶性物質をも保持(可溶化)可能であることから,最近では香粧品・食品・化成品など幅広い分野への応用も試みられるようになってきている。本稿では,ベシクルの形成条件やその安定性を支配する因子について概説する。さらに,両親媒性分子混合系における分散安定性に優れるベシクル・ニオソームの調製,さらにはベシクルを構造指向剤として利用したナノサイズのシリカ中空粒子の調製法について紹介する。
著者
酒井 健一 西山 広徳 小椋 孝介 黒木 悠平 遠藤 健司 土屋 好司 酒井 秀樹 阿部 正彦
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.317-320, 2012-08-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

モノメリック型(一鎖一親水基型)界面活性剤およびジェミニ型(二鎖二親水基型)界面活性剤の水中における分子集合体形成に及ぼす重合性基の影響を検討した。その結果,非重合性のモノメリック型(UTAB),重合性のモノメリック型(PC11)および非重合性のジェミニ型(11-6-11)の相状態は,低濃度側からミセル溶液(Wm)相-二相共存領域(II)-ヘキサゴナル液晶(H1)相-ラメラゲル(Lβ)相と変化した。一方,重合性のジェミニ型(PC11-6-11)の相状態は,H1相とLβ相との間にラメラ液晶(Lα)相が出現し,低濃度側からWm-II-H1-Lα-Lβ相となった。モノメリック型とジェミニ型界面活性剤のどちらの場合も,それらの疎水基末端に重合性基が存在することによりH1相の形成濃度が上昇した。また,ジェミニ型構造を有する界面活性剤は,モノメリック型の界面活性剤の場合よりもH1相を形成する濃度(物質量で規格化)が低くなった。