著者
土屋 篤生 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_11-2_18, 2023-09-30 (Released:2023-10-25)
参考文献数
9

本稿は千葉県の鍛冶文化の維持・継承・発展に向けた一連の論文の第二報である。 鍛冶屋の「ふいご以外は自分で作れる」という矜持は、ものの本質を見極め理解する観察眼、作り方を考える段取りの自由と責任、それらを実行できる技術力のすべてを持っていることの表れであり、道具を自分で作ることが生活の基礎であることを示している。さらに、野鍛冶は生活者の求めに応じてさまざまな道具を製作する技術が必要とされる。高梨氏は、鍛冶屋の修行として、親方のそばで仕事を「見て盗む」訓練を積むことで、「見る目」を養った。そして、見様見真似で仕事をする実践の中で技術を身につけていった。これは生活の中に身を置くことで技術のみならず鍛冶屋としてのあり方を身につけていく「文化としてのものづくり」と言えるものである。高梨氏が身につけた鍛冶屋としてのものづくりの能力は、単なる技術的な能力ではなく、生活と仕事が一体となった「生業」の中で身についた生活者の姿であるといえよう。
著者
土屋 篤生 青木 宏展 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_1-2_10, 2023-09-30 (Released:2023-10-25)
参考文献数
15

千葉県における伝統的鍛冶技術は、職人の高齢化や後継者不足、社会構造の変化などの要因により消失の危機にあり、その記録および継承が急務である。館山市の房州鎌職人および柏市の型枠解体バール職人への聞き取り調査をもとに、それぞれの製作技術をまとめた。房州鎌:①地金と鋼を鍛接する。②鎌の形状になるように叩いて曲げ、薄く延ばしたのち、型どおりに切断する。③刃元の段差、ミネの勾配およびコバを付け、強度を増す。④水で焼き入れ・焼き戻しをする。型枠解体バール:①四角柱と八角柱の鋼材を鍛接する。頭部に用いる四角柱の方に硬度がより高いものを用いる。②スプリングハンマーを用いて頭を直角に曲げる。③爪を斜めにし、先を割って成形する。④同様にして尾を成形する。尾はおよそ 25 度の角度をつける。⑤焼き入れ・焼き戻しをする。焼き入れでは、工業用の油で半分ほど冷ましたのち、水冷する。両者とも要所の繊細な工程は手作業で、五感を駆使して行うが、鍛接や延ばしなど単純だが力を要する工程には機械を併用することで、高齢でも今日まで続けられている。
著者
土屋 篤生 大垣 亮
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.103-110, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
22

合宿期間中における大学ラグビー選手の内的負荷データ間の相関関係を評価した.疲労度とRPEに中程度の相関関係が認められた.練習時間が長くなるようなケースにおいてはRPEデータの方が負荷を正確に反映する可能性があるといえる.またHRVデータは睡眠の質と中程度の有意な相関関係が認められたが,主観的なウェルネスデータとの相関性が認められなかった.主観的な測定に加えて客観的なデータを測定する必要性が示唆された.