著者
倉谷 健治 尾上 伍市 土屋 荘次
出版者
東京大学航空研究所
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-26, 1960-03

推力100kgの硝酸-ケロシン型液体ロケットの地上燃焼実験を二十数回にわたって行なった結果と,ロケットモーターのノズルでの化学平衡の状態を適宜仮定して理論的に求めた燃焼性能に関する諸定数の値との比較検討を主として行なった.熱損失の影響を考慮して求めた理論値は実験値とよく一致していることがこの解析から結論される.
著者
荻原 妙子 土屋 荘次 倉谷 健治
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.260-277, 1963-03

二酸化窒素によるポリエチレンの酸化反応について.赤外線吸収スペクトルによって反応生成基の確認と反応機構についての研究を行なった.フィルム試料と二酸化窒素を封入した反応容器を温度調節したシリコン浴中に浸し,反応を行なった.反応後,フイルム試料を赤外線分光器によって4000〜400cm^<-1>の範囲のスペクトルを測定した.酸化ポリエチレンに新しく出現した吸収帯の帰属を行なうために,いくつかの有機硝酸エステル,亜硝酸エステルなどを合成し,その赤外線吸収スペクトルを測定した.これらのスペクトルと,酸化反応後の試料フイルムを種々な条件で処理した際に生ずるスペクトル変化などの比較によって,ニトロ基,亜硝酸基,硝酸基,カルボニル基,水酸基の生成を確認した.以上の反応生成基のある一定温度(100℃)における量的な時間変化を測定すると,反応初期にはまずニトロ基と亜硝酸基が現われ,その生成量の比は約2:1である.ニトロ基は反応時間の経過と共に単調に増加するが,亜硝酸基はある時間後に極大値に達し,減少し始める.それと同時に硝酸基.カルボニル基,水酸基の吸収が現われ,増加し始める.これらの事実より,次の反応機構が結論される.酸化反応は,ポリエチレン内に生成した反応活性点に二酸化窒素のN原子が付加することによってニトロ基が,O原子が付加することで亜硝酸基が生成することから開始する.反応後期においては,ニトロ基は安定で,亜硝酸基が更に分解を受けて硝酸基,カルボニル基,水酸基などを生成する.反応初期に生成する反応活性点は,二酸化窒素によるポリエチレン主鎖からの水素原子の引き抜き反応によって生じた遊離基である.しかし,室温下の反応ではこの水素引き抜き反応は起らず,ポリエチレン内に残存する二重結合,遊離基などと二酸化窒素との付加反応が主反応である.水素引き抜き反応に対する測定された活性化エネルギーは,14kcal/moleであった.