著者
倉谷 健治 尾上 伍市 土屋 荘次
出版者
東京大学航空研究所
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-26, 1960-03

推力100kgの硝酸-ケロシン型液体ロケットの地上燃焼実験を二十数回にわたって行なった結果と,ロケットモーターのノズルでの化学平衡の状態を適宜仮定して理論的に求めた燃焼性能に関する諸定数の値との比較検討を主として行なった.熱損失の影響を考慮して求めた理論値は実験値とよく一致していることがこの解析から結論される.
著者
五十嵐 寿一 石井 泰 杉山 清春 IGARASHI Juichi ISHII Yasushi SUGIYAMA Kiyoharu
出版者
東京大学航空研究所
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-31, 1964-03

振動,音響現象などの高速度の信号を解析するためのディジタル型相関器を試作したので報告する.相関をとるべき二つの信号はいったんデータレコーダ等に録音しその再生出力を相関器への入力電圧とする.この入力電圧は二つのアナログーディジタル(A-D)変換器によって一定時間ごとにそれぞれ2進4桁の数字に変換され,そのうち一方はシフトレジスタに入りある時間たってから読出されて他方との間に掛算が行なわれる.掛算の結果はパルス数に変換されカウンタに積算されていくが,特にこの相関器においてはA-D変換器等のドリフトによる誤差を最小にするために,二つの数の積のみでなく,それらのある一定数に対する補数同志の積をも積算に繰入れるという独特の方式を採用している.シフトレジスタの段数は11段であるが,二つのA-D変換器のサンプリング時刻はサンプリング週期の1/5ステップごとに相対的にずらせることができる.したがって全体としては正あるいは負の方向に55ステップの時間シフトをとることができる.入力信号の相関値はデータレコーダを繰返し再生しつつこれらの時間シフトのステップについて一つ一つ計算されていく.その際計算に使用するサンプルの数は相関器に任意に設定できるようになっている.この相関器は約400個のトランジスタ論理要素から構成されており約5Kcまでの周波数の入力信号を取扱うことができる.この報告では試作した相関器の動作原理や構造の説明などのほかに,すでにこの装置を用いて計算された多くの相関関数の中から二,三を選んで例示してある。
著者
河村 竜馬 辛島 桂一 関 和市
出版者
東京大学航空研究所
雑誌
東京大学航空研究所集報 (ISSN:05638097)
巻号頁・発行日
vol.3, no.7, pp.631-648, 1963-09

sting-Type Balanceを使って遷音速におけるCone-Cylinderに働く3分力の測定を行なった実験結果を報告する.実験に使用したConeの半頂角は10°,15°,20°,25°および30°の5種である.小さな迎角の範囲では揚力は迎角に比例して増加し零迎角における揚力係数勾配はM=1の近傍でSlender Body Theoryのそれと大体一致する.模型の尖端周りのPitching-Moment係数は小迎角の範囲では,迎角に比例して増加するが,増加の割合はSlender Body Theoryのそれと比較してかなり小さい.零揚力における抵抗係数は半頂角20°および25°の模型に対してはCole, SolomonおよびWillmarthの実験結果[3]と良く一致している.しかし遷音速相似法則による抵抗係数の整理は良い結果を示さない.大きな半頂角の模型(25°および30°)に関しては揚力係数およびPitching-Moment係数がM=0.89の近傍でほとんど不連続的と考えられるような急激な減少を示した.一方抵抗係数の変化は連続的であった.Schlieren写真による流れ場の観察により,このような空力特性の急減は模型の肩における非対称剥離と衝撃波の位置の変化によるという結論に達した.資料番号: SA4148580000