著者
土田 敏恵 荻野 待子 濵元 佳江
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.117-126, 2015 (Released:2015-06-05)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

感染防止の視点からわが国で実施されている陰部洗浄の実態を明らかにし,病床機能による特徴について検討することを目的に,全国の医療施設と介護福祉施設計6,000施設に勤務する看護師・介護職者を対象に構成的質問紙調査を実施した.有効回答部数は1,930部(32.2%)で,病床機能別の回収率は,一般病床937部(48.5%),療養病床600部(31.1%),介護福祉施設393部(20.4%)であった.調査対象の70%の病棟または施設で,入院/入所者の5割以上がおむつを使用していた.実施状況は,対象者1名に対し2人が10分未満で陰部洗浄を実施しており,手袋は1~2双使用していたが,エプロンやマスクは34%が使用しないと回答した.手袋とエプロンの装着は対象者に触れる前であったが,手袋を除去するタイミングは便付着時が最多であるものの多様であった.病床機能別では,対象者1名あたりの陰部洗浄を介護福祉施設の75.8%が実施者1人で実施し,所要時間は61.3%が5分未満で,手袋の使用枚数は1双が69.7%,ディスポーザブルエプロンは62.6%が使用しないと回答した.手指衛生や陰部を洗浄する順序,周囲環境汚染防止策や感染症を疑う対象者への対策については,病床機能による違いはなかった.
著者
佐竹 陽子 石澤 美保子 森脇 裕美 升田 茂章 土田 敏恵 貝谷 敏子 田中 結華
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.503-514, 2023 (Released:2023-10-24)
参考文献数
18

本研究は在宅療養者の医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPU)有病状況とケアの現状を明らかにすることを目的とした。 全国指定訪問看護ステーションから単純無作為抽出した1,800施設のMDRPU有病症例を対象に実態調査を行った。 338 施設(回収率18.8%)から252 症例の回答を得た。男性115 名(45.6%)、69.0 ± 25.3 歳(範囲;0-101)、233 件(79.8%)が在宅で発症していた。関与した機器は尿道留置カテーテル68 件、経ろう管法用チューブ56 件、経鼻酸素カニューレ30 件が上位であった。DESIGN-R®の深達度評価はd1が163(55.8%)、d2が85(29.1%)、D3 が18(6.2%)、D4が9(3.1%)、D5 が1(0.3%)であった。在宅で入手可能な物品で試行錯誤しながらスキンケア、接触部位の保護、除圧の外力低減ケアを実施していた。 ケアは訪問看護師のもつ創傷管理の知識で適切にされていると評価できる一方で、医療機関と異なる背景にも留意しなければならない。訪問看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師の専門的知見を融合し地域の医療者や介護福祉専門職、在宅療養者や家族に対し従来の褥瘡との違い、重症化予防の観察やケアを教育する必要がある。また在宅療養者や家族の生活状況と変化に応じセルフケアや介護能力を見極め、MDRPU 予防と管理の方法を具体的に検討する必要性が示唆された。