著者
佐竹 陽子 荒尾 晴惠
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.201-208, 2018 (Released:2018-06-14)
参考文献数
23
被引用文献数
3

研究目的は,救急領域で終末期ケアを実践する看護師の葛藤を明らかにすることである.救急看護に従事する看護師11名を対象に半構造化面接を実施し,内容分析を行った.その結果,[救命と看取りの混在][患者や家族のニーズの捉えにくさ][看護の目標の不確かさ]という救急領域の特徴が看護師の葛藤を引き起こしていた.葛藤には,[終末期ケアを実践する環境への葛藤][倫理原則に関する葛藤][家族や医療チームとの関係性から生じる葛藤][確信がもてないまま実践する看護ケアへの葛藤]という看護の役割を果たせないと感じる葛藤や,[看護師としての死生観がうむ葛藤]という看護師の心理的負担があった.救急という特殊な状況での終末期ケアとして看護の役割を検討すること,看護の目標は経過に応じて検討し医療チームや家族と共有すること,看護師への心理的支援としてデブリーフィングの機会をもつことの必要性が示唆された.
著者
佐竹 陽子 石澤 美保子 森脇 裕美 升田 茂章 土田 敏恵 貝谷 敏子 田中 結華
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.503-514, 2023 (Released:2023-10-24)
参考文献数
18

本研究は在宅療養者の医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPU)有病状況とケアの現状を明らかにすることを目的とした。 全国指定訪問看護ステーションから単純無作為抽出した1,800施設のMDRPU有病症例を対象に実態調査を行った。 338 施設(回収率18.8%)から252 症例の回答を得た。男性115 名(45.6%)、69.0 ± 25.3 歳(範囲;0-101)、233 件(79.8%)が在宅で発症していた。関与した機器は尿道留置カテーテル68 件、経ろう管法用チューブ56 件、経鼻酸素カニューレ30 件が上位であった。DESIGN-R®の深達度評価はd1が163(55.8%)、d2が85(29.1%)、D3 が18(6.2%)、D4が9(3.1%)、D5 が1(0.3%)であった。在宅で入手可能な物品で試行錯誤しながらスキンケア、接触部位の保護、除圧の外力低減ケアを実施していた。 ケアは訪問看護師のもつ創傷管理の知識で適切にされていると評価できる一方で、医療機関と異なる背景にも留意しなければならない。訪問看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師の専門的知見を融合し地域の医療者や介護福祉専門職、在宅療養者や家族に対し従来の褥瘡との違い、重症化予防の観察やケアを教育する必要がある。また在宅療養者や家族の生活状況と変化に応じセルフケアや介護能力を見極め、MDRPU 予防と管理の方法を具体的に検討する必要性が示唆された。