著者
佐藤 将之 宮森 正 小柳 純子 村瀬 樹太郎 坂 祥平 石井 信朗 西 智弘 山岸 正 石黒 浩史
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.515-522, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

【目的】脊髄圧迫症状は, がん患者のQOLを大きく低下させる合併症である. 脊髄圧迫症状を合併した患者に対するデキサメタゾン大量療法の有効性や副作用についてレ卜口スペクティブに検討し, 報告した. 【症例】2009年5月から2011年9月までに当院でデキサメタゾン大量療法のみを, 脊髄圧迫症状を合併した8症例に対して行った. 【結果】放射線照射や外科的治療を併用できずデキサメタゾン大量療法のみを行った患者8例のうち, 徒手筋力テストの改善を4例(50.0%)に, 改良Frankel分類の改善を5例(62.5%)に認めた. デキサメタゾン大量療法のみで, 歩行不可能であった7例のうち1例(14.3%)が自力歩行での退院となった. 自験例では重篤な副作用はなかった. 【考察】放射線照射や外科的治療を受けることができない脊髄圧迫症状に対してのデキサメタゾン大量療法が神経症状を改善する選択肢として有用である可能性が示唆された.
著者
近藤 行人 西坂 祥平
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.179, pp.31-46, 2021-08-25 (Released:2023-08-26)
参考文献数
15

本研究は、日本語使用を積極的には求められていないはずの理系の外国人研究者が日本語を伴う実践をどのように経験してきたのかを知ることを目的とする。そこで、本研究では欧州で生まれ育ち、英語による研究留学を果たし、現在日本で研究職を得て働くAさんの協力をえた。Aさんの経験を理解するため、日本語との関わりを中心とした経験を聞き取る非構造化インタビューを実施した。Aさんは参加義務のある諸々の業務や教育研究活動において、日本語力不足による困難があった経験を語った。Aさんは自身の能力を超えた日本語で進行する実践への参加での疎外感や、日本語を必要とする業務で必然的に生じる他者への援助要請への負担感を語った。Aさんの事例から、「研究は英語で」という言説は機能しておらず、日本における外国人研究者受け入れにおいて、共同体への十全な参加を個人の資質や努力を強いる形で実現させている構造が存在している可能性を指摘する。