著者
衣川 隆生 田中 典子 内山 喜代成 近藤 行人 松尾 憲暁
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.94-95, 2016-03-19

Nagoya University created teaching materials centered on social issues when they became a popular topic in modern Japanese society. These materials aim to foster academic literacy required from international students. This study examines a practice led by teaching materials on "Black baito", and analyzes what kind of dialogic activity and students' interpretation has occurred. The results of the analysis show that students created their own interpretation through the act of redefining the term "Black baito" as part of an explanation activity that entails looking at the working environment from both the employers' and employees' points of view.
著者
近藤 行人 西坂 祥平
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.179, pp.31-46, 2021-08-25 (Released:2023-08-26)
参考文献数
15

本研究は、日本語使用を積極的には求められていないはずの理系の外国人研究者が日本語を伴う実践をどのように経験してきたのかを知ることを目的とする。そこで、本研究では欧州で生まれ育ち、英語による研究留学を果たし、現在日本で研究職を得て働くAさんの協力をえた。Aさんの経験を理解するため、日本語との関わりを中心とした経験を聞き取る非構造化インタビューを実施した。Aさんは参加義務のある諸々の業務や教育研究活動において、日本語力不足による困難があった経験を語った。Aさんは自身の能力を超えた日本語で進行する実践への参加での疎外感や、日本語を必要とする業務で必然的に生じる他者への援助要請への負担感を語った。Aさんの事例から、「研究は英語で」という言説は機能しておらず、日本における外国人研究者受け入れにおいて、共同体への十全な参加を個人の資質や努力を強いる形で実現させている構造が存在している可能性を指摘する。
著者
近藤 行人
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.10-26, 2017-03-31 (Released:2017-04-28)
参考文献数
18

本研究は,日本とウズベキスタンにおいて,作文教育に携わる教師の有する文章観を明らかにし,その類似点,相違点を探る.日本人大学生及びウズベク人大学生が書いた作文を評価的態度を持って読んでもらったうえで,「いい文章とは何か」という点から,それぞれの教師の文章観を語ってもらった.これらの文章観についてのインタビューを質的に分析し,日本人教師とウズベク人教師を比較した.その結果,両者とも,言語的規範を順守すること,書き手が深い考えを備えた独自の主張を展開することをいいと捉えていた.一方で,文章構成に対する期待は異なっており,ウズベク人教師は,詳しい情報が記述された序論を持ち,冒頭で意見を表明しない文章構成を好み,日本人教師は冒頭で意見表明がされる文章構成を好んでいた.また,どのような論拠を説得力がないと捉えるかについてもそれぞれが感情的であると捉える論拠や,宗教的な記述,豊富な情報量に対する評価は分かれていた.日本人教師とウズベク人教師は,それぞれが身近でなじみのある文章を好んでいることが示唆された.