著者
木村 俊之 高 建 坂下 幸司 黎 暁紅 浅岡 佐知夫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.40-50, 2012-01-01
参考文献数
27
被引用文献数
8

ノルマルヘプタンを原料としてヘビーナフサ異性化触媒の開発を行った。ライトナフサ異性化触媒として開発されたPd/ナノサイズAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>/H-BEAゼオライト複合触媒はノルマルへプタンにおいてもナノアルミナ複合効果を発揮したが,高転化率では分解反応が進行した。そこで触媒の残留塩素除去処理を行ったところ,高転化率,高選択性を発揮したことから,残留塩素が塩化アルミニウムのような強い酸点となり,分解活性点として働くと考えられた。また,複合化したナノアルミナは,ゼオライトの強酸点をマイルド化し分解反応を抑制する効果があることが明らかとなった。ナノシリカとの複合化ではその効果が現れなかったことから,ナノアルミナの塩基性によって,ゼオライト表面の強酸点が中和されたと推測された。アルミナ複合触媒は,塩素除去処理を行うことで分散性が約2倍になったことから,ナノアルミナが有する塩素吸着能がパラジウムの分散性に効果的に働いたと推測された。