著者
坂下 聖加子 岩沢 篤郎 中村 良子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.373-377, 2002-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
7
被引用文献数
5 5

集中治療センターにおいて, 日常的手洗い法 (石鹸流水法), 衛生学的手洗い法 (擦式アルコール製剤を用いたラビング法) と強酸性電解水 (流水下15秒) を日常業務中に常用使用し, 着菌数は, 強酸性電解水, ラビング法, 石鹸流水法でそれぞれ54±63, 89±190, 128±194CFU/agar plate (n=81) であり, 強酸性電解水が最も低値を示した. また, ラビング法においてBacillus属の検出される割合が他法と比べ有為 (P<0.05) に高かった.全身清拭, の手洗いで, 手洗い前の菌数が100CFU以下の場合石鹸流水法の除菌率が悪かった.以上の結果より, 奨励される方法は,(1) 手が明らかに汚れている場合は, 石鹸や消毒薬を使用したスクラブ法で手付着菌数を確実に少なくする.(2) 菌数を減少させた後は, 強酸性電解水の常用(3) 高度の清浄度を必要とするケア前および手洗い設備のない場所ではラビング法を使用する.強酸性電解水を常用し, 場合によりラビング法, 石鹸流水法を使い分けることにより, 手荒れ等の障害の少ない手付着菌数の少ない状態を維持できると考えられた.