著者
岩沢 篤郎 中村 良子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.179-183, 2001-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
9

10%ポビドンヨード製剤中の添加物の違いによる殺菌効果・細胞毒性の差を検討した.その結果, 殺菌効果は製剤間の違いは認められなかったが, 細胞毒性に大きな違いが認められた.この毒性は, グリセリン, ポリビニルピロリドンでは認められなかったことから, 添加界面活性剤の違いと考えられた.ポビドンヨード原末の毒性は低いものの, 創傷部等に頻回に使用する際には, 添加物の毒性にも注意が必要と考えられた.
著者
坂下 聖加子 岩沢 篤郎 中村 良子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.373-377, 2002-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
7
被引用文献数
5 5

集中治療センターにおいて, 日常的手洗い法 (石鹸流水法), 衛生学的手洗い法 (擦式アルコール製剤を用いたラビング法) と強酸性電解水 (流水下15秒) を日常業務中に常用使用し, 着菌数は, 強酸性電解水, ラビング法, 石鹸流水法でそれぞれ54±63, 89±190, 128±194CFU/agar plate (n=81) であり, 強酸性電解水が最も低値を示した. また, ラビング法においてBacillus属の検出される割合が他法と比べ有為 (P<0.05) に高かった.全身清拭, の手洗いで, 手洗い前の菌数が100CFU以下の場合石鹸流水法の除菌率が悪かった.以上の結果より, 奨励される方法は,(1) 手が明らかに汚れている場合は, 石鹸や消毒薬を使用したスクラブ法で手付着菌数を確実に少なくする.(2) 菌数を減少させた後は, 強酸性電解水の常用(3) 高度の清浄度を必要とするケア前および手洗い設備のない場所ではラビング法を使用する.強酸性電解水を常用し, 場合によりラビング法, 石鹸流水法を使い分けることにより, 手荒れ等の障害の少ない手付着菌数の少ない状態を維持できると考えられた.
著者
岩沢 篤郎 中村 良子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.316-322, 2003-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
9 6

強酸性電解水とポビドンヨード製剤, グルコン酸クロルヘキシジン製剤, 塩化ベンザルコニウム製剤を細胞毒性とモルモット創治癒過程の影響, 感染創での膿生成有無で比較検討し, 以下の結果を得た.1) 細胞毒性試験系では, 強酸性電解水の毒性は認められなかったのに対し, ポビドンヨード製剤で0.1%~0.01%, グルコン酸クロルヘキシジン製剤では0.0002~0.0004%, 塩化ベンザルコニウムで10~0.1μg/mlの範囲まで, 毒性が認められた.2) モルモット創治癒過程では, 表皮細胞の遊走には各製剤間で有意な差は認められなかったが, ポビドンヨード製剤・グルコン酸クロルヘキシジン製剤・塩化ベンザルコニウム製剤で, 炎症部位面積は未処理群と比較し有意に大きかった.3) Pseudomonas aeruginosa感染創の膿形成は, 強酸性電解水で12.1%, ポビドンヨード製剤で20.6%, グルコン酸クロルヘキシジン製剤で27.3%, 生理食塩水で38.2%の割合で認められた.以上の結果から, 強酸性電解水の創傷治癒過程における障害は認められず, 汚染部位に菌の感染像がある場合は, 生理食塩水ではなく強酸性電解水を流しながら使用することで, 殺菌効果を期待できることが判明した.消毒薬使用の場合には細胞毒性を示すが, 強酸性電解水はほとんど細胞毒性を示さないため, 創傷治癒に対して促進的な作用ではないが, 有効性が認められたものと考えられた.
著者
岩沢篤郎
雑誌
臨床と微生物
巻号頁・発行日
vol.20, pp.231-236, 1993
被引用文献数
51