著者
田淵 紀子 島田 啓子 亀田 幸枝 関塚 真美 坂井 明美
出版者
日本助産学会 = Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-36, 2008-06-30
被引用文献数
2 4

目 的<br> 生後1ヶ月児の泣きに対する母親の困難感とその感情に関連する要因を明らかにすることを目的とした。<br>対象と方法<br> 北陸地方の病産院にて出産し,1ヶ月健診時に調査の同意が得られた母親を対象に,自己記入式質問紙調査を実施した。調査内容は,児の泣きに対する母親の困難感と,その関連要因として,児の泣きの性質や母親の睡眠・授乳状況,サポート状況などの質問項目を設定し,各々4段階リカート尺度で点数化した。<br>結 果<br> 有効回答は,初産婦298名(47.3%),経産婦332名(52.7%),合計630名であった。全体の約半数の母親が,児が泣くと戸惑ったり,抱いたり,あやしても泣きやまない困難な状況を経験していた。困難感を示した母親は,小さな子どもと接したことのない初産婦に多く,子どもの泣き方が特徴的であったり,なかなか寝入らないなど,子ども側の要因と母親の生活状況,育児に対する負担感や自信感等の母親側の要因が困難感に関連していた。<br>結 論<br> 生後1ヶ月時の母児の支援には,児側の要因と母親側の要因の双方に着目し,児の泣きの特徴や,母親の疲労状態,育児に対する気持ち等に注意を向け,母親が児の泣きをどのようにとらえているのかを知ることが重要であり,これらのスクリーニングの必要性が示唆された。