- 著者
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小原 香
坂本 由佳里
長谷川 治美
河塚 寛
坂本 宏司
早田 保義
- 出版者
- 園芸学会
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.75, no.3, pp.267-269, 2006-05-15
- 被引用文献数
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香草のコリアンダー(Coriandrum sativum L.)の異なる成長期における器官別香気成分の変動を検討した.コリアンダーの幼苗期の葉部と茎部のにおいは極めて類似しており,高いパターン類似率を示した.しかしながら,幼苗期の葉茎部と成熟期の葉茎部のパターン類似率は低下し,さらに,幼苗期から成熟期へと成長が進むに従い,葉と茎部の香気は異なるようになり,そのパターン類似率も著しく低下した.また,果実と他の器官におけるパターン類似率の低下は顕著であった.茎葉部の主要香気成分は,油っぽい,甘い,草様の香りを有するdecanal,(E)-2-decenal,(E)-2-undecenal,2-dodecenal,(E)-2-tetradecenalの5成分であり,種子にはほとんど含まれていなかった.また,種子の特徴的香気成分は,花様の爽やかな香りを有するlinaloolやα-pinene,γ-terpinene,D-camphor,geraniolの5成分であり,茎葉部にはほとんど含まれていなかった.茎葉部では,成長が進むに従い,heptanal,(E)-2-hexenalやoctanalの様な青いフレッシュな香気が減少する傾向があり,生茎葉を香草として使用する場合は,コリアンダー特有の青臭い香りだけでなく,フレッシュな香気を併せ持つ幼苗期の茎葉部が適していると判断された.