- 著者
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坂東 琢麿
西 耕一
大家 他喜雄
安井 正英
藤村 政樹
松田 保
- 出版者
- 日本呼吸器内視鏡学会
- 雑誌
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.6, pp.569-574, 1992-09-25
症例は57歳, 男性で, 主訴は胸部異常陰影であった。1990年7月3日, 急性心筋梗塞と診断され, 7月7日当院受診, 胸部X線像にて右上肺野に浸潤影が認められたが, 7月26日には自然消退した。外来にて経過観察中の9月27日に, 左中下肺野に斑状影が出現した。気道症状はなかったが, 軽度の炎症反応があり, 呼吸機能検査で軽度の拘束性障害が認められたため, 間質性肺炎を疑い, 気管支鏡検査を行った。気管支肺胞洗浄中の細胞は増加し, リンパ球が増加していた。病理組織学的には器質化肺炎と診断された。こうした所見は, アレルギー反応によって生ずる間質性肺炎に類似しており, 本症例では血清抗心筋抗体が陽性であることなどから, 心筋梗塞後症候群の一亜型と思われた。