著者
渡辺 彰 名村 正伸 金谷 法忍 大家 他喜雄 林 守源
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.1409-1413, 1987

症例は26才男性で,急性左心不全で入院した.心電図は心室内伝導傷害と前側壁心筋梗塞の所見を示した. CPKは最高10470IUに上昇し, LDHは6620IUに上昇した.入院第51病日に心臓カテーテル検査を施行した.左室造影では心筋収縮能はび漫性に低下していた.選択的冠動脈造影では左冠動脈主幹部に長さ1.6cmの辺縁が平滑な50%の狭窄を認めた.また,前下行枝に長さ2.8cmにわたり冠動脈内陰影欠損を認めた.血中ウイルス学的検査でムンプスウイルス抗体価が有意に変動した.発症1年後の右室心内膜心筋生検から心筋炎と診断した.以上より,冠動脈病変を呈したムンプスウイルス心筋炎と診断し,冠動脈病変の病因として冠動脈炎が考えられた.
著者
大家 他喜雄
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.134-143, 1966-05-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
33

The effect of lipid metabolism, especially catabolism of triglyceride on carbohydrate metabolism, has been studied in rabbits.The results were as follows;1) A high fat diet did not increase the fasting blood sugar but this level was significantly elevated by the addition of orally adminitered Δ' 17α-methyltestosterone.2) The oral administration of lipid or Δ' 17α-methyltesterone increased the urinary excretion of the ketone bodies. The urinary excretion of ketone bodies was higher than when either alone was given. The serum ketone bodies increased after the treatment with Δ' 17α-methyltestosterone but was not affected by high-fat diet.3) Administration of propionic acid resulted in an elevation of the fasting blood glucose and impaired the glucose tolerance. These effects were found more evident in the former than the latter. Lactic acid did not have these effects. Addition of beef tallow made these effects more prominent.4) Oral administration of 17 a-methyltestosterone or short-chain fatty acids (propionate, butyrate and lactate) caused a reduction in liver glycogen.5) Adminirtration of beef tallow increased the lipid deposition of hepatic cells. This finding was also found in the group where Δ' 17α-methyltestosterone was added to the standard diet.6) Fasting for 5 days caused an elevation of blood sugar and an impairment of glucose tolerance. An injection of purified human depot fat made these changes more remarkable.7) On the basis of these observations, a discussion was made whether the acceleration of lipid metabolism might play an important role in diabetogenesis or not.
著者
西 耕一 水口 雅之 橘 秀樹 大家 他喜雄 藤村 政樹 松田 保
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.350-354, 1996

トロンボキサン合成酵素阻害薬が著効を示したと考えられる慢性持続性咳嗽患者を経験したので報告する. 症例は25歳の女性で, 8週間以上継続する乾性咳嗽を主訴として受診した. 乾性咳嗽のエピソードは今回が2回目であり, 前回は気管支拡張薬が無効であり, 塩基性抗アレルギー薬 (塩酸アゼラスチン)が有効であった. しかし, 今回の咳嗽は, 塩基性抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬は十分効果的ではなく, トロンボキサン合成酵素阻害薬 (塩酸オザグレル) が著効を示した. さらに, カプサイシンに対する咳の感受性も同薬物の投与にて改善した. トロンボキサンA<sub>2</sub>, 咳嗽, およびカプサイシンに対する咳感受性の3者の関係に関する報告は今までのところ少なく, 詳細は不明であるが, 本症例のようにトロンボキサン合成酵素阻害薬が効果的な咳嗽患者が存在することは, 臨床的に重要な知見と考えられたため報告した.
著者
坂東 琢麿 西 耕一 大家 他喜雄 安井 正英 藤村 政樹 松田 保
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.569-574, 1992-09-25

症例は57歳, 男性で, 主訴は胸部異常陰影であった。1990年7月3日, 急性心筋梗塞と診断され, 7月7日当院受診, 胸部X線像にて右上肺野に浸潤影が認められたが, 7月26日には自然消退した。外来にて経過観察中の9月27日に, 左中下肺野に斑状影が出現した。気道症状はなかったが, 軽度の炎症反応があり, 呼吸機能検査で軽度の拘束性障害が認められたため, 間質性肺炎を疑い, 気管支鏡検査を行った。気管支肺胞洗浄中の細胞は増加し, リンパ球が増加していた。病理組織学的には器質化肺炎と診断された。こうした所見は, アレルギー反応によって生ずる間質性肺炎に類似しており, 本症例では血清抗心筋抗体が陽性であることなどから, 心筋梗塞後症候群の一亜型と思われた。