著者
南出 隆久 垣生 俊夫 緒方 邦安
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.281-287, 1980-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5 10

キノコ類の収穫後における生理化学的特性と品質保持に関する研究の一環として,本研究では,収穫後の貯蔵温度がキノコ類の鮮度におよぼす影響について調べた。キノコ類として,わが国で生産量の多いシイタケ,エノキタケ,ナメコ,ヒラタケ,ツクリタケを用いた。(1) 収穫あるいは購入後,キノコ類を非密封でポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)に包装し, 1℃, 6℃,20℃に貯蔵し,貯蔵に伴う鮮度変化を調べたところ,大体, 1℃で14~20日, 6℃で10日前後, 20℃で2~3日間で商品性限界となった。(2) 鮮度低下は主に,菌傘の開傘,かっ変退色や菌柄の伸長,かっ変によることがわかった。とくに,ツクリタケ,シイタケはかっ変が顕著に発現し,ポリフェノールオキシダーゼ活性も増大した。(3) キノコ類の呼吸作用は活発で,炭酸ガス排出量は葉菜類と同等か,それ以上であった。(4) 遊離アミノ酸含量ならびにその組成について調べたところ,キノコの種類により組成に相違のあるものの全体として,グルタミン酸,アスパラギン酸とその酸アミドが多くを占めていた。シイタケ,ヒラタケ,ナメコのアミノ酸含量は貯蔵中増加する傾向にあった。