著者
大谷 貴美子 尾崎 彩子 小島 憲治 神田 真由美 南出 隆久 高井 隆三 中島 孝 高畑 宏亮 大谷 晃也
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.356-365, 2001-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
25

We investigated the relationship between the frothing and foam stability of beer and the surface properties of various kinds of drinking vessel (glass mugs and 6 kinds of ceramic mugs), whose size and shape were almost the same. Although the initial bubbles produced when pouring beer into a mug have been thought to depend on the gas created by the mechanical stirring and on the air adsorbed to the surface of the beer mug, we considered that the frothing and foam stability of beer in the mug might also be related to the shape and size of scratches and on the wettability of the surface of the beer mug. The mechanism for continuous bubbling was investigated by a theoretical equation which showed that the size of a bubble produced on the surface of the beer mug was significantly correlated with the wettability and shape of scratches on the surface, and that the place where a bubble was continuously produced was where air remained to form the nucleus of the next bubble after the previous bubble had been released.
著者
町田 玲子 三橋 俊雄 奥村 萬亀子 大谷 貴美子 森 理恵 南出 隆久
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は「しまつ」などの京都らしい暮らし方について、衣食住の各側面から考察し、その伝承のされ方、次世代への生かし方について明らかにすることを目的とする。衣分野:京の暮らしぶりの特性に「しまつ」がある。衣生活については一方で「京の着だおれ」と評される特性がある。京の女たちはこの両側面をうまく成り立たせる工夫や心がけを持っている。また、この両側面にかかわる商人としての悉皆屋がある。彼らはきものの管理・再生から流行のきもの作りまでを手がける。そして、京の人々の暮らしと深くかかわり、「しまつ」な暮らし方と流行のゆくへを伝授する。京の「しまつ」な暮らしは生活者の行動意志と同時にそれを支える産業組織から成り立っていたのである。食分野:都として栄えた京の郷土料理とも言える京料理と町衆のおかずであるおばんざいに光をあて、「しまつ」に関する知恵を探った。京料理には、材料を生かす精進の精神(無駄をしない、持ち味を生かす)が、薄味や旬の素材の利用に生かされ、おばんざいには、粗末なおかずをも、様々な意味づけをして生活を楽しむ知恵や、また乾物等の調理方法に栄養素を無駄なく利用する知恵などが認められた。住分野:京都市上京区・中京区・下京区の居住者に、住生活を維持するための昔の知恵について調査をした。その結果、昔は大掃除や日々の掃除を家族で行なっていたので、子どもへも自然に掃除の知恵が伝承されていたこと、住に関するしまつ意識は高齢者同居世帯において高いこと、近隣づきあいは相手の領域に安易に踏み込まない暗黙の了解があり、高齢者層ほどその認識度が高い傾向がみられること、などが明らかになった。
著者
大谷 貴美子 尾崎 彩子 松本 裕子 南出 隆久
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.204-211, 2000-05-20
被引用文献数
3

器と料理との色彩調和について研究する足がかりとして、最も単純な系として、つけ醤油と皿に着目し、醤油を入れるのに相応しい皿の色について、CRT上のカラーパレットを用いて検討を行った。白磁の皿に醤油を入れた画像を基本画像としてCRT上に取り込み、皿全体または皿の縁のみに、basic vivid colorの8色(スペクトラムブルー、サマサマーグリーン、若草色、カナリア、蜜柑色、シグナルレッド、マゼンダ、本紫)と各々の色の明度を50%から80%まで上昇させたものを用いて彩色した。そして、料理別(刺身、寿司、餃子、漬け物)に相応しいもの、醤油が美しくみえるもの、つけ醤油の皿の色として不適当なものについて検討を行った。その結果、刺身や寿司など生ものの新鮮さが要求される料理の場合は、ブルー系が好まれたが、漬け物や餃子ではむしろ、黄色を含む暖色系の方が好まれた。また、皿の縁のみに彩色した場合、餃子では、シグナルレッドが好まれるなど、同じつけ醤油の皿であっても用途によって、選ばれる皿の色が異なることが示唆された。色の世界は多様であり、実際の器を用いての研究には限界があるが、コンピューターを用いることで、視覚による美しさ、特に料理と器との関係について研究できる可能性が示唆された。
著者
南出 隆久 饗庭 照美 畑 明美
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.96-100, 1995-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8

The physical and chemical changes in sweet peppers sauteed with high (4,600 kcal/h) and low (2,300 kcal/h) calories cooking burners were determined.The pericarp tissues of sweet pepper cut into square pieces of 3×3cm weighed 200g and ten grams of vegetable oil were added, and then sauteed on the flying pan at 200°C for 4min.These results were as follows:During sauteeing it was found not only more loss in their weight, attached oil contents, green color and hardness, but also more increase in penetrated oil contents were found in the case of the high calorie cooking burner than those of the low calorie cooking burner. The content of vitamine C was stable during sauteeing up to 3 min. on the both heating powers.The appearance, weight loss, green color, penetrated oil contents, and vitamine C content of the sauteed sweet peppers in the optimum sauteeing periods (high calorie cooking burner: 1.5-2.5min., low calorie cooking burner: 2.5-3min. ) were not noticeable differences between the sweet peppers sauteed with the two types of heating powers.

2 0 0 0 OA 京の野菜食

著者
南出 隆久
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.12-17, 1994-07-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
8
著者
畑 明美 南出 隆久 殿畑 操子
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.37-48, 1990-11-19

In order to clarify changes in quality of manufactured goods in apple pie as affected by the thickness in bottom crust and the presence of hole in top and bottom crust were investigated. Pastry of pie was made flour (protein content 8.3% and 11.4% mixed 1 : 1/weight ratio) with salt-water and natural butter. Thereafter, two-crust was prepared with 0.3,0.4,0.5 and 0.6cm thickness in bottom crust and 0.2cm thickness in top crust with hole (1.5mm^2,80 pieces/pie), and baked for 13 minutes at a temperature of 200℃, filled 100g or 200g using apple preserve. The results obtained were summarized as follows : Although the formation of flakiness was more promoted at 0.6cm thickness than that of 0.3cm in bottom crust, however, these parts were not swelled fully, and became heavy total weight of pie. In the case of presence hole in top crust, evaporation of water in pie was accelerated, and good swelling was also recognized. In conclusion, it was indicated that general condition of excellent apple pie is 0.3cm thickness of bottom crust and make hole in top crust only.
著者
山内 直樹 南出 隆久
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.265-271, 1985
被引用文献数
10 30

本研究は, パセリーにおけるペルオキシダーゼによるクロロフィルの分解について追究した. パセリー葉身のエタノール抽出物にペルオキシダーゼ並びに過酸化水素を添加すると, クロロフィルの分解が認められた. しかしながら, 精製したクロロフィルはペルオキシダーゼ•過酸化水素系で分解されなかった. この結果から, パセリーのエタノール抽出物中に含有される未知物質がペルオキシダーゼ•過酸化水素系によって酸化され, その酸化生成物がクロロフィルを分解しているものと思われたので, 以下未知物質の検討を行った.<br>未知物質は溶媒分画並びにカラムクロマトグラフィーによって分離され, 紫外部吸収極大位置からアピゲニン配糖体であると推定した. さらに, 塩酸による加水分解によりアグリコンを抽出し, 薄層クロマトグラフィーでのRf値並びにスペクトル特性の検討により, 未知物質はパセリーの主要フラボノイドのアピゲニンであることを同定した.<br>以上の結果から, パセリーにおけるクロロフィルの分解は, ペルオキシダーゼがアピゲニンを酸化し, 生成したアピゲニンの酸化物がクロロフィルを分解することを認め, 収穫後におけるパセリーの黄化にペルオキシダーゼが関与しているものと推察した.
著者
畑 明美 饗庭 照美 南出 隆久 殿畑 操子 AKEMI HATA TERUMI AIBA TAKAHISA MINAMIDE MISAKO TONOHATA
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.p41-47, 1991-11

近年, 加熱調理機器類の発達はめざましく, 各種の熱エネルギーの異なる調理機器が利用されている。そこでガスエネルギー源として燃焼カロリーの異なる2種のコンロ(強火 : 4,100kcal/h・普通火 : 2,300kcal/h)を用いて水を媒体とした加熱操作を行ない両者について比較検討した。1.スパゲティを強火でゆでると普通火よりもゆで上り時間は短縮され食味も良好であった。これはゆであげ後の増重率が大であるにもかかわらず, めん幅が小でしまりのある状態にゆで上がっていることからも考察することができた。また, 一般的にパスタをゆでる場合は塩添加ゆでが指示されているが, デュラム小麦を原料とした場合その効果は明らかではなく火力の違いによる影響が大であると思われた。2.ジャガイモを各種の水量でゆでると, ゆで用水量が多い時, 内部温度の上昇速度は普通火よりも強火がより速くなった。そして普通火は水量が多いほどジャガイモは軟化が遅く各々の破断荷重の値は不均一になったが, 強火では水量が増えてもその多量の熱媒体となる水が更に強い熱媒体をつくり出し同じくらいの硬さになり均一となった。また組織の軟化に伴いゆで液中への溶出カリウム量と遊離アミノ酸量は強火のほうが多く溶出していた。なおこの報告の一部は平成2年日本家政学会関西支部, 第12回(通算68回)研究発表会で発表した。Recently, we have seen notable developments in cooking ranges, which are available in many types for some of heat energies. We examined to the physical and chemical changes in spaghetti and potatoes under the two different types of cooking ranges using gas energy (normel heating power : 2,300 kcal/h, strong heating power : 4,100 kcal/h). The results were as follows; (1) It was observed that when spaghetti was boiled with a strong heating power, the boiling time became shorter and the taste was better than those with a normal heating power. The spaghetti was also boiled up with a smaller diameter and a better elastic firmness in spite of the weight of spaghetti increasing. It was found that there were few effects of salts addition in boiling water and were some effects of heating power on the quality of spaghetti made from durum wheat flour. (2) When a comparison was made on boiling potatoes using 3,5,and 10 times volumes of water, the increasing of inner temperature of potatoes at the strong heating power became faster than the ones at the normal heating power. The volume of water was influences of potato texture and the large volume of water produced uneven texture of potato under the normal heating power. The elution of potassium and free amino acid from potato tissues into boiling water under the strong heating power were larger than the ones under the normal heating power.
著者
南出 隆久 垣生 俊夫 緒方 邦安
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.281-287, 1980-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5 10

キノコ類の収穫後における生理化学的特性と品質保持に関する研究の一環として,本研究では,収穫後の貯蔵温度がキノコ類の鮮度におよぼす影響について調べた。キノコ類として,わが国で生産量の多いシイタケ,エノキタケ,ナメコ,ヒラタケ,ツクリタケを用いた。(1) 収穫あるいは購入後,キノコ類を非密封でポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)に包装し, 1℃, 6℃,20℃に貯蔵し,貯蔵に伴う鮮度変化を調べたところ,大体, 1℃で14~20日, 6℃で10日前後, 20℃で2~3日間で商品性限界となった。(2) 鮮度低下は主に,菌傘の開傘,かっ変退色や菌柄の伸長,かっ変によることがわかった。とくに,ツクリタケ,シイタケはかっ変が顕著に発現し,ポリフェノールオキシダーゼ活性も増大した。(3) キノコ類の呼吸作用は活発で,炭酸ガス排出量は葉菜類と同等か,それ以上であった。(4) 遊離アミノ酸含量ならびにその組成について調べたところ,キノコの種類により組成に相違のあるものの全体として,グルタミン酸,アスパラギン酸とその酸アミドが多くを占めていた。シイタケ,ヒラタケ,ナメコのアミノ酸含量は貯蔵中増加する傾向にあった。
著者
饗庭 照美 尾崎 彩子 李 温九 章 貞玉 康 薔薇 松井 元子 南出 隆久 大谷 貴美子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.180-186, 2002-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
18
被引用文献数
2

要約本研究では,2種類の塗りの皿(黒色,朱色)に物相型を用いて形作った飯を盛り付けて日韓の学生に示し,それらに対するイメージ特性をSD法によって調査した. 物相型は日本料理で伝統的に用いられている丸梅,もみじ,末広と,日本料理では用いられることのないハート型を加えた5種類を使用した. パネルは,日韓の食物系の女子学生である. 評価尺度は「上品な - 下品な」,「美しい一みにくい」などの形容詞対30項目を設定し,7段階評価で行った. その結果,日本と韓国では異なるイメージがあることが示されたため,統計処理にSPSSを用いて因子分析を行った. 日本で抽出された第1因子(α=.799)を構成する形容詞対は『情緒的感覚の因子』,第2因子(α=.779)の形容詞対は『華やかさの因子』と名付けた. 韓国で抽出された第1因子(α=. 899)は『嗜好性の因子』,第2因子(α =.844)は『目立ちやすさの因子』と名付けた. 抽出されたこれらの因子について日韓で比較してみると,日本において物相飯は季節感やハレ(めでたさ)を演出している情緒があるものというイメージが示唆された. しかし,韓国では物相飯を単に形のイメージとしてとらえ,その形の嗜好で評価が行なわれていた. 本研究から,食物の形や色に対する評価は,日常的に接しているその国の食文化に影響を受けていることが示唆された.
著者
大谷 貴美子 饗庭 照美 徳田 涼子 尾崎 彩子 南出 隆久
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.270-275, 2001-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
3

The color harmony of Wanmori (a dish used in the Japanese tea ceremony and presented in a lacquered wooden bowl) was analyzed from photographs in books of Kaiseki cooking. V 20 (Toyobo Co. Ltd. ) color-image analyzing computer software, was used. The food materials occupied less than 40% of the whole area of a Wanmori bowl. The color which appeared most frequently and constituted the largest area of the food materials was the white-skin color to show the cooked fish of the season. In the summer, the number of colors per bowl was smaller and the area of the white-skin color was larger than in the winter which gave the effect of coolness. In the winter, warm colors (red and/or yellow) were added to give the effect of warmth. This color harmony is characteristic of Japanese cuisine that respects the sense of the season.
著者
南出 隆久 畑 明美 TAKAHISA MINAMIDE AKEMI HATA
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
no.41, pp.p23-28, 1990-11

大豆の利用拡大を図る目的で, 極大粒種のオオツル, 普通黄大豆タマホマレ, 緑大豆井手町在来の3品種を用い, 枝豆としての収穫時期の判定と, 収穫後の品質変化について検討した。本実験で用いた大豆3品種とも一莢当りの種子数が1,2粒と枝豆用の品種に比べ少なく, また収穫までの生育日数も長くかかることがわかった。大豆の風味や品質に関与する還元糖, アミノ酸, アスコルビン酸は種子の成熟にしたがい減少した。しかし, 全糖は増加傾向にあった。大豆の莢の外観による収穫適期の判定には, CIEのa値が化学成分の変化と高い相関関係にあることがわかった。収穫後の品質保持には, 低温貯蔵が有効であるが, 井手町在来のように, 20℃貯蔵でも全糖, アミノ酸含量の減少が少ない品種のあることがわかった。
著者
南出 隆久 畑 明美 TAKAHISA MINAMIDE AKEMI HATA
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 = The scientific reports of the Kyoto Prefectural University. Natural science and living science (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.23-28, 1990-11-19

大豆の利用拡大を図る目的で, 極大粒種のオオツル, 普通黄大豆タマホマレ, 緑大豆井手町在来の3品種を用い, 枝豆としての収穫時期の判定と, 収穫後の品質変化について検討した。本実験で用いた大豆3品種とも一莢当りの種子数が1,2粒と枝豆用の品種に比べ少なく, また収穫までの生育日数も長くかかることがわかった。大豆の風味や品質に関与する還元糖, アミノ酸, アスコルビン酸は種子の成熟にしたがい減少した。しかし, 全糖は増加傾向にあった。大豆の莢の外観による収穫適期の判定には, CIEのa値が化学成分の変化と高い相関関係にあることがわかった。収穫後の品質保持には, 低温貯蔵が有効であるが, 井手町在来のように, 20℃貯蔵でも全糖, アミノ酸含量の減少が少ない品種のあることがわかった。
著者
畑 明美 南光 美子 長谷川 明子 南出 隆久
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35-41, 1988-11-18

京都府及び福井県産らっきょうを供試し, 試料重量の1%食塩を用いて1週間下漬を行った後, 食酢1ιに対して砂糖200gを添加した漬け酢を, らっきょう1kgにつき漬け酢1250mιの割合で本漬したものについて, ヘクチン及び無機成分の経時的変化を調査した。その結果, ヘクチン, 特に水溶性ヘクチン, 及び無機成分(Ca, Mg, K)は, 漬け日数の経過とともに減少した。次に, らっきょうのテクスチャー改善の試みとしてCaCl_2 (0.5,1,3%)を漬け酢に添加したところ, 総ヘクチン及び水溶性ヘクチン含量は増加し, また, 硬度も増大した。同様にMgCl_2を添加した結果, ヘクチン及びMgを除いた他の無機成分含量には大きな変化はみられなかったが, 硬度は多少増大した。
著者
富田 道男 斉藤 学 春山 洋一 南出 隆久 畑 明美
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年度科学研究費補助金では、アルミ鍋からのアルミニウム溶出に及ぼす溶液の影響について調べ、溶出量は酸性溶液で多くなり、酸の種類にも影響されることを明らかにした。2%の酢酸、リンゴ酸、及びクエン酸のそれぞれの溶出量は、100cm^2当たり4.2mgと酢酸が最も多く、リンゴ酸、クエン酸では少なかった。また、酢酸の場合、溶出量は試料温度とともに指数関数的に増えることがわかった。さらに、標準的な食物の調理にアルミ鍋を使用した場合に、鍋から溶出する量も含めて、1人1食分に含まれるアルミニウムの量を調べた。その結果、米飯185g、ポ-クビーンズ163g及び五目豆244gを1食分とした場合、3.4mgのアルミニウムを摂取することになることがわかった。また、食品原材料の中には、鶏の手羽肉のように、100g当たり1.3mgものアルミニウムを含んでいるものがあることも明らかになった。このことを踏まえて、平成8年度科学研究費補助金では、食物の他にも、日常の食物によく使用される食品に含まれるアルミニウムの量の測定に重点をおいた。食品30種について測定した100g当たりのアルミニウム含量を畜肉、魚類、農産物それぞれに分けて平均すると、畜肉の平均アルミニウム含量は2.2mg、魚類では2.4mg、農産物では、葉菜類の平均含量が5.3mgと最も多く、次いで大豆の4.5mg、果菜類0.93mg、根茎菜類0.63mgであった。
著者
大谷 貴美子 尾崎 彩子 小島 憲治 神田 真由美 南出 隆久 高井 隆三 中島 孝 高畑 宏亮 大谷 晃也
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.356-365, 2001-11-20
被引用文献数
1

We investigated the relationship between the frothing and foam stability of beer and the surface properties of various kinds of drinking vessel (glass mugs and 6 kinds of ceramic mugs), whose size and shape were almost the same. Although the initial bubbles produced when pouring beer into a mug have been thought to depend on the gas created by the mechanical stirring and on the air adsorbed to the surface of the beer mug, we considered that the frothing and foam stability of beer in the mug might also be related to the shape and size of scratches and on the wettability of the surface of the beer mug. The mechanism for continuous bubbling was investigated by a theoretical equation which showed that the size of a bubble produced on the surface of the beer mug was significantly correlated with the wettability and shape of scratches on the surface, and that the place where a bubble was continuously produced was where air remained to form the nucleus of the next bubble after the previous bubble had been released.
著者
南出 隆久 饗庭 照美 畑 明美
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.51-57, 1992-11-25
被引用文献数
2

枝豆のテクスチャーならびに色調におよぼす調理操作について, 緑大豆(品種 : 井手町在来)の未熟種子を用いて調べた。枝豆の破断曲線は, ゆで操作10分で生のものと明らかに異なり, 組織はもろさがなくなり粘着性を示した。また, 加熱操作として, ゆで操作, 蒸し操作, 電子レンジ操作をおこなったが, ゆで操作が枝豆のテクスチャーに好ましいことがわかった。1%食塩水や塩揉み等の食塩処理は, 枝豆のテクスチャーには明かな影響はみられなかった。枝豆の莢の緑色は子葉に比べ熱安定性は劣っていた。ゆで操作した枝豆は, 蒸し操作や電子レンジ操作に比べ緑色は安定していたが, 枝豆は食塩処理しても緑色にはそれはどの効果はみられなかった。これらの結果から, 枝豆として受け入れられる限界のテクスチャーと色調は, 破断荷重で0.7&acd;1.0kgf, CIEa^*値は-7.5&acd;-8.0を指標として比較できるものと考える。