著者
冠木 智之 大宜見 力 田中 理砂 池松 かおり 城 宏輔 鍵本 聖一 大石 勉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.92-98, 2005 (Released:2005-04-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

生直後より頻回に感染を繰り返し,家族歴からも原発性免疫不全症を疑ったが,生後6ヵ月時に大腸内視鏡検査所見よりクローン病と診断した1男児例を経験した.本症例はステロイドを含む各種薬物治療に抵抗したため,抗TNF-α療法としてインフリキシマブ,サリドマイドによる治療を行った.インフリキシマブは皮疹出現のため,1クール3回の投与を終了できず,症状の若干の改善(PCDAI 47.5→30)を得ただけであった.一方サリドマイドは各症状(下痢,腹痛,発熱,瘻孔)の著しい改善(PCDAI 45→15)を認めた.副作用(浮腫,皮疹,末梢神経障害)のためサリドマイド投与は4.5ヵ月で中止したが,瘻孔閉鎖効果は長期持続した.出現した副作用は投与中止により漸次消退した.サリドマイドはその投与量については再考の必要があるが,通常の治療に抵抗性のクローン病患児に対して試みて良い治療法と考えられた.乳児クローン病は極めてまれであり,その診断治療に苦慮することが多い.その病態解明,治療の進歩には今後更に詳細なデータの蓄積が必要である.クローン病を含めた炎症性腸疾患は今後小児科領域でも増加することが予想され,嘔吐,下痢症といった消化器症状に加え,肛門周囲に裂創,膿瘍,瘻孔を認めた場合は,乳児であっても炎症性腸疾患を疑う必要があると考えられた.
著者
豊永 義清 杉田 守正 堀 誠 城 宏輔
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1671-1691, 1988

Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) で治療した各種細菌感染症の治癒近い時期の日齢1~12日までの成熟児・未熟児19例について, 10mg/10mg/kg, 20mg/20mg/kgを1時間点滴静注し, その後の血漿中濃度推移及び尿中回収率を検討した。例数が少ないため, 成熟児, 未熟児に分けず, 日齢ごとに0~3, 4~7, 8日齢以上の3群に分けて比較検討した。臨床的検討を行つたのは生後0~28日までの男児10例, 女児3例で, その内訳は敗血症 (疑いを含む) 2例, 肺炎6例, 尿路感染症4例, 上顎洞炎1例であつた。<BR>1. 血漿中濃度推移及び尿中回収率<BR>(1) 10mg/10mg/kg, 1時間点滴静注IPM 3群のピーク値は点滴静注終了時 (初回採血時) で18.18~19.90μg/mlで, 有意差は認められず, その後, 割合速やかに減少し, 8時間で0.32~0.98μg/mlの濃度を示した。半減期に日齢が進むほど短縮傾向を示し, 平均でそれぞれ1.87, 1.55, 1.40時間であつた。<BR>CS 3群のピーク値は点滴静注終了時であり, 28.23~30.00μg/mlで有意差は認めなかつた。その後, 生後7日までの群では緩徐に減少し, 8時間値は6.30, 4.58μg/mlで, 半減期も4.10, 3.08時間であつたが, 8日以降の群では速やかに減少し, 8時間では測定限界以下であり, 半減期も1.60時間であつた。<BR>(2) 20mg/20mg/kg, 1時間点滴静注<BR>IPM3群とも点滴静注終了時にピーク値を示し, 31.1~38.24μg/mlであつた。その後割合速やかに漸減し, 8時間で0.95~2.08μg/mlを示していた。半減期は1.5~1.88時間であった。<BR>CS 3群とも点滴静注終了時にピーク値を示し, 47.0~55.82μg/mlで有意差は認められなかつた。その後, 緩徐に減少し, 8時間値では日齢が幼若なほど高く,それぞれ14.75,9.40, 4.0μg/mlを示した。半減期は明瞭に日齢差を認め,0~3日齢で4.48時間, 4~7日齢で3.30時間, 8日齢以上2.1時間と, 日齢が進むほど短縮する傾向を示した。<BR>(3) 尿中回収率11例の検討で, 8時間までにIPM21.6~57.3%, CS47.5~96.0%であり, 若干10mg/10mg/kg投与群のCSで日齢が進むにつれて回収率が増加した。<BR>2. 臨床成績本剤を敗血症 (疑いを含む) 2例, 肺炎6例, 尿路感染症4例, 上顎洞炎1例の計13例に使用し, 全例に有効以上の成績を示した。細菌学的にも不明の1例を除き, 12例 (Staphylococcus aureus 4例, Klebsiella pneumoniae 2例, Escherichia coli 4例, Group B Streptococcus 1例, Haemophilus influenzae+Enterobacter cloacae 1例) ともすべて経過中に消失した。投与量は24.7mg/24.7mg~65.2mg/65.2mg/kg/日であり, 尿路感染症の2例が1日2回投与であつた以外は3回投与であつた。<BR>副作用としては, 自他覚的副作用は全例に認めず, 臨床検査値異常としてはGOT, GPTの上昇を1例に認めた。