著者
大澤 敏 城殿 威生 小川 俊夫 附木 貴行
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.73-78, 2001-04-30 (Released:2011-04-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

生分解性プラスチックであるポリ乳酸は, 高い力学的性質と透明性を兼ね備えており, 近年農業用シートなど屋外での用途が期待されている.実用的な視点から見ると使用中の耐候性の評価や分解予測が必要である.本研究では, ポリ乳酸 (PLA) フィルムを屋外暴露試験し, 試料の破断強度に与える日照量 (光分解) と降水量 (加水分解) の影響を重回帰分析した.その結果, 破断強度は, 降水量Wと加水分解の反応速度定数kを掛け合わせた変数雁7と, 日照時間Uと光分解の反応速度定数k'を掛け合わせた変数k'Uの関数で表すことができた.また, PLAの分解に及ぼす影響を重回帰式の標準偏回帰係数で比較したところ加水分解と光分解で約2: 3であり, 光分解の影響がかなり大きいことが明らかになった.またこの結果は実験室内で加水分解速度と光分解速度を別々に測定した結果と一致した.