著者
大澤 敏 城殿 威生 小川 俊夫 附木 貴行
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.73-78, 2001-04-30 (Released:2011-04-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

生分解性プラスチックであるポリ乳酸は, 高い力学的性質と透明性を兼ね備えており, 近年農業用シートなど屋外での用途が期待されている.実用的な視点から見ると使用中の耐候性の評価や分解予測が必要である.本研究では, ポリ乳酸 (PLA) フィルムを屋外暴露試験し, 試料の破断強度に与える日照量 (光分解) と降水量 (加水分解) の影響を重回帰分析した.その結果, 破断強度は, 降水量Wと加水分解の反応速度定数kを掛け合わせた変数雁7と, 日照時間Uと光分解の反応速度定数k'を掛け合わせた変数k'Uの関数で表すことができた.また, PLAの分解に及ぼす影響を重回帰式の標準偏回帰係数で比較したところ加水分解と光分解で約2: 3であり, 光分解の影響がかなり大きいことが明らかになった.またこの結果は実験室内で加水分解速度と光分解速度を別々に測定した結果と一致した.
著者
濱野 哲敬 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 佐々木 毅志 高岸 憲二 角田 陽平 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.810-814, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

腱板修復術後の筋萎縮・脂肪浸潤の変化について検討を行った過去の報告は,腱板修復術の手術操作そのものによる影響を考慮しておらず正確な評価がなされていない.本研究の目的は腱板修復術により腱板構成筋群の筋萎縮,脂肪浸潤が改善しうるか,術後早期と術後1年のMRIを用いて検討することである.2010年4月から2012年3月の間に肩腱板断裂の診断にて鏡視下腱板修復術を行った52例52肩を対象とした.筋萎縮の評価はThomazeauらの方法に準じて,棘上筋,棘下筋,肩甲下筋のOccupation ratioを計測し,脂肪浸潤の程度は同じスライスでGoutallier分類に準じて評価した.修復術後2週と1年でのそれぞれの評価を比較検討すると,筋萎縮は棘上筋のみで有意に改善し,この変化は中断裂以下で認められ,脂肪浸潤は棘上筋,棘下筋,肩甲下筋の全てで有意に改善し,この変化は大・広範囲断裂例で認められた.
著者
大澤 敏 馬塲 浩彰 小川 俊夫
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.191-197, 2002-10-31
参考文献数
17

近年, 生分解性プラスチックを生ゴミなどと共に堆肥化 (コンポスト化) する試みが盛んに行われている.本研究では, 一般家庭に普及しつつある家庭用生ゴミ処理機で熟成した生ゴミ中に, ポリ乳酸 (PLA), ポリカプロラクトン (PCL), ポリブチレンサクシネート・アジペート (PBSA) を投入し, 生ゴミと共にコンポスト化処理が可能であるかどうか調べた.強度低下で評価した分解性はPLA>PCL≅PBSAであった.PLAは10日程度で強度がゼロになる形状崩壊を起こしたが, PCLとPBSAは40日以上の時間を要した.また, 分解性は生ゴミの組成に大きく依存し, 動物性と植物性の生ゴミが共存した場合に最も速く分解した.水分率も分解性に影響を与えた.処理機内の水分率を60%から70%に高めることにより生ゴミの分解性を損なうことなく生分解性プラスチックの分解を促進することができた.
著者
大澤 敏 西川 武志 小川 俊夫
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.118-123, 1999-07-30
被引用文献数
1

生分解性プラスチックの分解速度はその構造とそれが置かれた微生物環境によって決まるが, 後者を制御することは微生物の多様性から困難であるとされている. しかしながら, プラスチックを含む有機廃棄物処理の観点から見ると使用後は速やかに分解する微生物環境を人為的に管理する必要性がある. そこで本研究では, 従来から有機農法において用いられている, 安定な循環サイクルを有する有用微生物 (EM) 群を生分解性プラスチック (L-ポリ乳酸) の置かれた有機廃棄物中に添加してその分解促進効果について調べた. その結果, 36℃でEM菌群をコンポスト中に添加した場合にL-ポリ乳酸の分解が約40%促進されることがわかった. また, コンポスト中での分解は非晶相から進行するが50℃でEM菌群を添加した場合には, 結晶相でも速やかな分解が起こることが明らかになった.
著者
大澤 敏 西川 武志 小川 俊夫
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.118-123, 1999-07-30 (Released:2011-04-19)
参考文献数
17

生分解性プラスチックの分解速度はその構造とそれが置かれた微生物環境によって決まるが, 後者を制御することは微生物の多様性から困難であるとされている. しかしながら, プラスチックを含む有機廃棄物処理の観点から見ると使用後は速やかに分解する微生物環境を人為的に管理する必要性がある. そこで本研究では, 従来から有機農法において用いられている, 安定な循環サイクルを有する有用微生物 (EM) 群を生分解性プラスチック (L-ポリ乳酸) の置かれた有機廃棄物中に添加してその分解促進効果について調べた. その結果, 36℃でEM菌群をコンポスト中に添加した場合にL-ポリ乳酸の分解が約40%促進されることがわかった. また, コンポスト中での分解は非晶相から進行するが50℃でEM菌群を添加した場合には, 結晶相でも速やかな分解が起こることが明らかになった.
著者
佐々木 毅志 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 濱野 哲敬 高岸 憲二 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.411-413, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
13

夜間痛は肩関節疾患の特徴的な愁訴の一つであるが,その詳細については不明な点が多い.本研究の目的は肩関節疾患における夜間痛について調査を行い,その特徴と背景因子について検討することである.2011年4月1日から2013年3月31日の期間における当科肩外来初診患者232人を対象とした.男性121人,女性111人,平均年齢56.4歳であった.年齢,性別,診断名,罹患側,肩関節痛の症状,肩関節可動域,筋力,夜間痛の頻度,夜間痛の症状,理学所見との関連について調査を行った.対象の58.2%に夜間痛を認め,その64.4%は肩痛のためほとんど毎日夜間に覚醒し,93.3%は体位による疼痛の増減を認めた.夜間痛がある例はない例と比較すると年齢が高く,安静時痛が強い例が多かった.