- 著者
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城谷 哲也
宮村 信博
荒木 栄一
七里 元亮
- 出版者
- 熊本大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1999
糖尿病における膵β細胞疲弊の一因として、β細胞のグルコース応答性のインスリン生合成や分泌障害が生じることが知られている。本研究では、高血糖におけるグルコース応答性のインスリン遺伝子転写が、atipical PKC(PKCζ)を介して転写因子のPDX-1(pancreatic and duodenal homeobox gene-1)を修飾して影響をおよぼしているかを分子レベルで解析した。膵β細胞でのPKCの関与、またPDX-1のリン酸化に関わるPKCのfamilyを同定するため、MIN6細胞にPKCの阻害剤であるCalphostin CやGo6976を反応させ、EMSA及びCAT assayを施行した結果、グルコース応答性のPDX-1のリン酸化にはatipical PKCが関与している可能性が示唆された。抗PKCζ抗体を用いたwestern blotの結果、MIN6細胞の核抽出物中にPKCζが存在することを確認し、免疫染色でもMIN6細胞の核内にPKCζの存在を確認しえた。さらに、低(2mM)及び高(20mM)グルコースにおけるPKCζの活性の変化を基質を用いて測定した結果、20mMグルコース培養下でのPKCζ活性は有意に増加していた。また、atipical PKCを特異的に阻害するCalphostin Cを反応させると、この20mMグルコース培養下でのPKCζ活性を完全に抑制した。最後に、atipical PKC(PKCζ)のグルコース応答性インスリン遺伝子転写への関与をより詳細に解析するため、ラットatipical PKC(PKCζ)cDNAを基にdominant negative PKCζを作成し、発現vectorに組み込んだ後、MIN6細胞に発現させwestern blotにて、その発現蛋白を確認した。さらに、dominant効果の確認後、in vitro及びトランスジェニックマウスを作成し、より詳細な解析を行う予定である。