著者
野村 誠 鮴谷 佳和 斎藤 雄二 八木 稔人 向井 光佐子 河盛 隆造 七里 元亮 鎌田 武信
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.841-847, 1986-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
22

度にわたり完全寛解を得たI型糖尿病症例の報告は, これまで皆無である.私たちは, 糖尿病性ケトアシドーシス昏睡にて急性発症し, その後人工膵島をはじめとする厳格なインスリン療法によりすみやかに完全寛解導入し得た症例について7年間のfbllow upを行った.その期間中に, さらに2度にわたりICSAの陽性化とともに, 尿ケトン体, 多量の尿糖高血糖が出現し, 糖尿病急性増悪を認めた.それぞれ入院後, 厳格な血糖管理によりICSA陰性化, 糖尿病完全寛解導入を得た。本症例にてICSAの推移とインスリン分泌能の変遷の関連性を追求した.
著者
城谷 哲也 宮村 信博 荒木 栄一 七里 元亮
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

糖尿病における膵β細胞疲弊の一因として、β細胞のグルコース応答性のインスリン生合成や分泌障害が生じることが知られている。本研究では、高血糖におけるグルコース応答性のインスリン遺伝子転写が、atipical PKC(PKCζ)を介して転写因子のPDX-1(pancreatic and duodenal homeobox gene-1)を修飾して影響をおよぼしているかを分子レベルで解析した。膵β細胞でのPKCの関与、またPDX-1のリン酸化に関わるPKCのfamilyを同定するため、MIN6細胞にPKCの阻害剤であるCalphostin CやGo6976を反応させ、EMSA及びCAT assayを施行した結果、グルコース応答性のPDX-1のリン酸化にはatipical PKCが関与している可能性が示唆された。抗PKCζ抗体を用いたwestern blotの結果、MIN6細胞の核抽出物中にPKCζが存在することを確認し、免疫染色でもMIN6細胞の核内にPKCζの存在を確認しえた。さらに、低(2mM)及び高(20mM)グルコースにおけるPKCζの活性の変化を基質を用いて測定した結果、20mMグルコース培養下でのPKCζ活性は有意に増加していた。また、atipical PKCを特異的に阻害するCalphostin Cを反応させると、この20mMグルコース培養下でのPKCζ活性を完全に抑制した。最後に、atipical PKC(PKCζ)のグルコース応答性インスリン遺伝子転写への関与をより詳細に解析するため、ラットatipical PKC(PKCζ)cDNAを基にdominant negative PKCζを作成し、発現vectorに組み込んだ後、MIN6細胞に発現させwestern blotにて、その発現蛋白を確認した。さらに、dominant効果の確認後、in vitro及びトランスジェニックマウスを作成し、より詳細な解析を行う予定である。
著者
赤沼 安夫 繁田 幸男 井村 裕夫 七里 元亮 垂井 清一郎 馬場 茂明 堀野 正治 兼子 俊男 三村 悟郎 清水 直容 内藤 周幸 中川 昌一 工藤 守 久保田 奉幸 阿部 祐五 王子 亘由 鍋谷 登 河原 啓 安東 千代 陣内 冨男 小坂 樹徳 後藤 由夫 葛谷 健 平田 幸正 伊藤 徳治 梶沼 宏 堀内 光 坂本 信夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.9-18, 1984

ブタインスリンの化学的修飾によつて酵素学的畔合成されたHuman Momcomponent Insuliれの安全性, 有効性および免疫学的推移を精製ブタインスリンを対照薬剤とした二重盲検法にて検討した. 用いた製剤はいずれもActrapidおよびMonotard製剤である. 治験は96週間の予定にて実施進行中であるが, 今回は24週間まで投与し得ている症例を対象とした中間成績である. 対象は, 精製ブタインスリン製剤のみで治療されているType IおよびType II糖尿病患者153例であった. 解析は除外症例8例を除いた145例にて実施された.<BR>患者の年齢, 糖尿病病型, 肥満度, 糖尿病発症年齢, 糖尿病罹病期間および糖尿病性合併症など背景因子に明らかな偏りはなかった.<BR>全般改善度, 有用度とも精製ブタインスリン群の方で改善および有用と判定する傾向があった (0.05<p<0.1).<BR>インスリン1日用量, 空腹時血糖値およびヘモグロビンAiでは両薬剤群間に有意な差は認められなかった. 体重, 抗インスリンIgG抗体およびインスリン特異性IgE抗体でも両薬剤群間に差を認めなかった. インスリンアレルギーが治験開始1ヵ月頃に, リポアトロフィーが12週間頃に各1例ずつ認められたが, いずれも治験はそのまま継続し得た. これら以外に副作用は認めなかった. 臨床検査成績に治験薬剤によると思われる直接的な影響は認められなかった.<BR>以上より, Human Monocomponent Insulinは, 精製ブタインスリンとほぼ同様の安全性, 有用性を有しており, 糖尿病治療上, 有用なインスリンであると判断された. しかしながら両者間には作用特性に多少の差異がみられる可能性は残る. この点に関しては今後さらに検討される必要があろう.
著者
七里元亮
出版者
名古屋大学出版会
雑誌
人工膵臓の基礎と臨床
巻号頁・発行日
1985
被引用文献数
2