著者
堀 素夫 早川 宗八郎 鞆津 武 牧島 象二
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.638-641, 1958

本研究はセメント焼塊のような不定形の焼結物の焼結度を迅速かつ連続的に推定する目的で,これらの焼結粒子充填試料についてγ 線吸収ならびに超音波吸収の測定を行い, 従来の方法によるカサ密度, 見掛け密度, 気孔率ないし固結強度等の測定結果を比較検討したものである。まずγ 線吸収については,充填粒子の形状,粒度,密度等のいかんにかかわらず,同一組成の試料のγ 線吸収係数とカサ密度との間にはほぼ完全な比例関係が成立するので,γ 線吸収実験結果からただちにそのカサ密度を推定することができる。ただし充填試料自体の見掛け密度を推定するためには,充填粒子間の空隙部分を適当な媒質でおきかえる必要があり,置換媒液の浸透性等に問題が残る。次に超音波吸収の場合には,測定結果が試料の粒度によって著しく変動するため, γ 線吸収の場合のように簡単な関係はえられないが, 一般的な傾向として吸収係数は焼結度の増加とともに減少するといえる。