著者
堀口 寿広
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.193-197, 2007

発達障害福祉サービスのあり方を検討する目的で, アンケート形式で施設サービスの自己評価を実施した. 回答した21施設は利用者の個別の要求に対応していると答える一方で, 不満や苦情処理のあり方, 個人情報の保護, 職員の教育や医療との連携に改善すべき点が多いと感じていた. 児の施設は全体的にサービスが充実していると回答していた.施設内に苦情受け付けの仕組みを設け, サービス内容を利用者に説明し意見交換を行うことにより, 利用者一人ひとりのニーズに沿った支援を提供することが必要である.
著者
堀口 寿広 加我 牧子 宇野 彰 稲垣 真澄 秋山 千枝子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.349-354, 1999-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

発達障害児・者を支える家族の精神健康度を調べ, その向上を図るために調査を行った.彼らは高い士気をもって介護にあたっていたが, 一般人口, 専門医師よりも高い頻度で燃え尽きや神経症と呼べる状態にあった.精神的に健康度の高い人は, 子供のことだけでなく子供のこと以外でも配偶者に相談をしており, 介護を手伝ってもらっていた.また, 家族以外に手助けをしてくれる人がいる方が, 精神的な健康度が高かった.施設利用については, 就学前に施設入所を体験した群では周囲への期待感が高かった.したがって, 発達障害医療においては, 家族の協力を軸とした支援が家族の精神保健の向上に大きくつながると考えた.
著者
堀口 寿広
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.271-276, 2006-07-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1

発達障害児 (者) のニーズを明らかにする目的で, 施設利用者の保護者を対象にアンケートを実施した. 利用者の現在の状態は国際生活機能分類 (ICF) によって記述した. ICFに基づき社会参加の到達度によって利用者の群分けをしたところ, 到達度の高い群は若年者に多かった. 到達度の固定した群は通所更生施設や作業所の利用者に多く, 保護者はグループホームでの生活と同時に現在の施設の継続利用を望んでいた. 専門医療に対する要望は回答者全般で高かった. 発達障害児 (者) を支援二するためには, 医療の専門家は利用者側のニーズと自身が必要と判断した支援の内容を比較することに加えて, 医療面での支援を充実させる社会的な取り組みが必要と考えた.
著者
秋山 千枝子 昆 かおり 堀口 寿広
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.284-288, 2008-07-01 (Released:2011-12-15)
参考文献数
9

発達障害児の状態に対する保護者と教師の認識の共有化を手助けする目的で, 特別支援教育制度で提案された判断基準などを参考に, 子どもの状態を知るための質問紙を作成した.「子ども相談室」を受診した45人の子どもについて, 保護者と教師が同じ質問紙に回答した. 保護者の回答では不注意に関する項目で, 教師の回答では多動と対人的なコミュニケーション能力の問題に関する項目で「問題がある」とする回答が多かった. これら3つの特徴を, 保護者と教師の認識に「ズレ」が生じやすい領域ととらえ, 重点的に情報を収集し診断と支援に活用すべきである.