著者
堀口 寿広 加我 牧子 宇野 彰 稲垣 真澄 秋山 千枝子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.349-354, 1999-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

発達障害児・者を支える家族の精神健康度を調べ, その向上を図るために調査を行った.彼らは高い士気をもって介護にあたっていたが, 一般人口, 専門医師よりも高い頻度で燃え尽きや神経症と呼べる状態にあった.精神的に健康度の高い人は, 子供のことだけでなく子供のこと以外でも配偶者に相談をしており, 介護を手伝ってもらっていた.また, 家族以外に手助けをしてくれる人がいる方が, 精神的な健康度が高かった.施設利用については, 就学前に施設入所を体験した群では周囲への期待感が高かった.したがって, 発達障害医療においては, 家族の協力を軸とした支援が家族の精神保健の向上に大きくつながると考えた.
著者
秋山 千枝子 昆 かおり 堀口 寿広
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.284-288, 2008-07-01 (Released:2011-12-15)
参考文献数
9

発達障害児の状態に対する保護者と教師の認識の共有化を手助けする目的で, 特別支援教育制度で提案された判断基準などを参考に, 子どもの状態を知るための質問紙を作成した.「子ども相談室」を受診した45人の子どもについて, 保護者と教師が同じ質問紙に回答した. 保護者の回答では不注意に関する項目で, 教師の回答では多動と対人的なコミュニケーション能力の問題に関する項目で「問題がある」とする回答が多かった. これら3つの特徴を, 保護者と教師の認識に「ズレ」が生じやすい領域ととらえ, 重点的に情報を収集し診断と支援に活用すべきである.