- 著者
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堀合 啓一
- 雑誌
- 情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.7, pp.644-647, 2016-06-15
航空交通管制システムの無線機器の多くは,半世紀前の技術に支えられていて,セキュリティは考慮されていない.一方,GPSやADS-Bなどの比較的新しい技術を利用したシステムについても,急速に進化したソフトウェア無線技術を利用することで,低コストで攻撃が可能な状態であることが判明している.航空交通管制システムの仕様の変更は,世界的な合意が必要で長期間を要するため,場合によっては独自の対応が必要となる.実際に遭遇した事例等を契機に代替機能の確保や非常時を想定した訓練を実施している国も存在している.重大なインシデントの発生を待つことなく,適切なリスク分析に基づく計画的な対応が求められている時代となっている.