著者
森田 正典
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J70-D, no.11, pp.2047-2057, 1987-11-25

まず,入力の対象となる日本文の特徴,入力方式に関係する人間工学的要素,および入力方式として望ましい条件の3者を明確にした.上記3要件を踏まえて,最適の日本文入力方式は何であるかを追求した結果,日本文入力用に最適化したローマ字方式である通称M方式が最も優れているとの結論を導いた.M方式の特徴は,子音キーと母音キーを,右手と左手に分類してそれぞれを50音順に配置し,漢字入力の際の打鍵数節減のための特別な複合キーを配置して,漢字入力の高速化を図ったことである.一方鍵盤方式としては,現在一般に使用されているキーボードの欠点を明確にし,筆者らが,それらの欠点を改善のために努力して改善を重ねてきた各種の製品を紹介し,最新型の鍵盤方式としては,仮想キー方式の採用によって機能キーの数を減少させ,常時頻繁に使用する機能キーのみを左右の手の形に合わせたデータキーの周辺に配置した,左右分離型の鍵盤を紹介している.
著者
橋本 新一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J56-D, no.11, pp.654-661, 1973-11-25

日本語単語アクセントの言語学的,音響学的,聴覚的諸性質について,統一的に論じた.まず,単語アクセントの種類が,日本語東京方言では,せいぜい十数種であり,0形から5形までで,全単語の98%以上をしめること,また3形以上で,nモーラ長の単語を取り上げた場合,8形の例外を除けば,第(n-2)モーラにアクセント核が存在する確率が最も高いことを見い出した.つぎに,単語の各モーラについて,母音のエネルギー重心点で求めた基本周波数は,単語の種類によらず(同一アクセント形をもつ単語について),きわめて安定であり,単語アクセントの形を反映する音響パラメータとなることを示した.また,この基本周波数と振幅および音韻継続時間の三要素がアクセント感形成に,上記の順序で寄与していることを明らかにした.最後に,合成音声を用いて,種々なピッチパターンのアクセント感に及ぼす影響を調べた結果,単語の種類や被験者によらない,各アクセントの形に固有なピッチパターンが存在し,その聴覚的許容範囲は,一人の話者の発音によるピッチパターンのばらつきよりも一般に広いことが明らかとなった.
著者
佐藤 宏介 井口 征士
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J68-D, no.3, pp.369-375, 1985-03-25

距離画像(Range-Picture)は,画像中の各画素が物体面までの距離情報を担ったものであり,三次元物体の認識に有効である.本論文では距離画像入力の新しい計測法について述べる.本方法ではCCDカメラとパターン光投影器を用いて,能動ステレオ法により距離情報を得る.パターン光投影器は2進符号化された縦縞状の2値パターン光を測定空間に投光して,空間を細いクサビ状に分割する.各々の領域は1本1本のスリット光に見なすことができ,割り当てられたコードにより識別が可能である.n回のパターン光投影で2n本のスリット光投影と等価な距離画像が得られるため,高速な計測が期待できる.空間のコード化には交番2進符号(グレイコード)を用いて,パターン光の明暗部境界でのコード化誤りを最小にする.最後に,実際の計測例により,テクスチャを含む物体にも有効であることを示し,また多面体の観測も行う.
著者
匂坂 芳典 佐藤 大和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J66-D, no.7, pp.849-856, 1983-07-25

日本語テキストからの音声合成で必要な韻律情報(アクセント,イントネーション)の生成規則を確立するため,アクセント句を構成する単語の性質からアクセント核の位置を決定する規則を検討した.本規則化では従来の個別的な記述の整理,分析を行い,単語間アクセント結合において,後続単語のアクセント属性として結合アクセント価とアクセント結合様式を提案する.これにより付属語アクセント結合の統一的な規則化を行うと共に,複合単語についても同様の規則化を図った.また,これらの規則の妥当性を示すため,自立語に付属語が複数個連なる文節3445文節,複合単語4877語を用いた推定実験を行った.この結果,各々98.3%,95.4%の正解率が得られ,本規則の有効性が確認された.さらに,これら推定実験結果の分析から,アクセント決定には句を構成する語の性質,句の構造,語の用法と意味等が種々に反映されることが示された.
著者
趙 南元 飯島 泰蔵
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J68-D, no.5, pp.1125-1132, 1985-05-25

一枚の複雑な画像が与えられたとき,あるいはある風景を眺めたとき,それを認識し,理解しようとすれば,人間はまずそれらを幾つかの簡単な画像に分けることから始めるであろう.人間の目は,無意識の中に,良い視点と視野を決め,自分にとって最も意味のある視覚情報を積極的に取り入れる.本論文ではこのようなプロセスを近似する一つの試みとして安定視点木法を提案する.本方法は,図形の基礎方程式にもとづく最適抑制法を土台にし,視点の安定性を視野を決める基準とすることによって,与えられた複雑な画像から特徴パターンを抽出する方法である.抽出された特徴は,扱い易い木構造となり,安定視点木と呼ばれる.本文では,ボケ変換を解析することにより,安定視点木の定義の正当性を論じ,その性質を明らかにした.本方法による画像の特徴抽出法は,画像の特質に依存しないため,汎用性のある特徴抽出法として,広く応用することが可能である,と考えられる.
著者
安達 博行 亀川 裕之 岩田 茂樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J70-D, no.10, pp.1843-1852, 1987-10-25

将棋の盤面を縦横9マスから縦横nマスに一般化したとき,与えられた局面から先手が勝てるかどうかを決定する問題は指数時間完成であることを示す.すなわち一般化将棋の先手必勝問題を解くどのアルゴリズムも少なくともnの指数時間を必要とし,この問題は「手に負えない」問題であることを証明する.この結果は,すでに指数時間完全であることが知られているG3の先手必勝問題(Stockmeyer, et al., Provably difficult combinatorial games, SIAM J. Comput. 8)から対数領域還元可能であることを示す.G3は与えられた積和形式の論理関数上のゲームである.一般化将棋の構成は各論理変数をシミュレートするための変数部,論理関数の各項に対応する飛車捕獲部,リテラルが項に含まれることに対応する竜角交代部などからなる.
著者
中川 聖一 神谷 伸 坂井 利之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J64-D, no.2, pp.116-123, 1981-02-25

本論文は,不特定話者の音声自動認識のための個人差,特に年齢・性別が同一層である話者間の個人差の正規化法について述べる.まず,パターンマッチング法で,個人差によるパターン変動に対処するためには,個人差に関する何んらかのモデル・構造を導入する必要のあることを述べる.これに基づいて,音声スペクトルの周波数軸上とスペクトル強度軸上での非線形なマッチングによる正規化法を提案し,この手法を10数字音声の認識に適用する.更に,この手法は,キーワードを用いた話者適応化にも有効であることを示す.最後に,標準パターンの選択法について述べ,これにより不特定話者に対して安定な認識率を得ることができることを示す.本手法により,不特定男性話者30名の10数字音声に対して,約97.6%の認識率を得ることができた.
著者
大津 展之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J63-D, no.4, pp.349-356, 1980-04-25

濃淡画像を2値化し対象領域と背景に分離するしきい値レベルを選定する問題は,単に画像処理のみならずパターン認識の基本的な問題の一つである.supervisedな場合には統計的決定理論からしきい値を選定できるが,より実際的なunsupervisedな場合に対しては,これまで幾つかの直観的な手法が提案されてはいるが,それぞれしきい値の評価,一般性,計算量に問題があった.本論文では,このしきい値選定の問題を一般的基本的わく組みで捕え,分離されるクラスの濃度レベルでの分離度を最大とする判別規準の立場から,濃度ヒストグラムの0次と1次の累積モーメントのみを用いる簡単で汎用性を持ったnonparametric unsupervisedな自動しきい値選定法を提案する.本手法は,同時に原濃淡画像の最小2乗近似の意味でも最適な手法となっていて,多値化の場合へも容易に拡張することができる.幾つかの好ましい性質を明らかにし,又,実際の応用例により,本手法の有効性を検証する.
著者
古賀 義亮 児嶋 典博 堀合 啓一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J60-D, no.10, pp.897-898, 1977-10-25

3ポート論理回路を従来のTTLやCMOSを用いて実現する方法について述べる.
著者
伊藤 崇之 福島 邦彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J70-D, no.2, pp.451-462, 1987-02-25

非線形な抑制機構を持つ神経細胞を構成要素として聴覚神経系の特徴抽出モデルを構成し,計算機シミュレーションでその動作を確認した.モデルは,基底膜に相当するバンドパスフィルタ群,ヘアセルに相当する半波整流回路,および特徴抽出部からなる.特徴抽出部は,同一の特性を持つ細胞を一次元的に並べた細胞層を,複数段,縦続接続して構成した多層回路である.個々の細胞は,入力側の層との空間結合と一次遅れ要素により,興奮性入力,抑制性入力それぞれに時空間的な加算を行った後,非線形な抑制機構(シャント型抑制)とアナログしきい特性を経て出力を出す.生理学的な知見および音声の特徴を考慮して,周波数一定部分を抽出するCF型細胞層,周波数の変化する部分を抽出するFM型細胞層,摩擦性雑音を検出する摩擦性雑音型細胞層の3種の特徴抽出細胞層を構成した.これらは,それぞれ,母音のホルマント,子音から母音へのわたりや拗音,多くの子音に対応する特徴である.実際の音声を入力して計算機シミュレーションを行い,モデルが,上に述べた音声に含まれる種々の特徴を正しく抽出することを確認した.
著者
村上 国男 中村 義作
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J61-D, no.7, pp.465-472, 1978-07-25

将来の有望な計算機アーキテクチャとして,ポリプロセッサ方式が注目を集めている.ポリプロセッサシステムは,機能専用化されたプロセッサによって構成される計算機複合体であり,システムの高度な性能を達成するためには,与えられたプロセッサ間の負荷分布に対してボトルネックを生じないことが必要である.このためには,各プロセッサ上で走行する制御プログラムのイベント処理方式と,負荷に対する処理能力との関係を明らかにしておくことが重要である.本論文では,ポリプロセッサシステムのパイロットモデルにおけるイベント処理の流れた着目し,これを3段のタンデム形待ち行列モデルによってモデル化する.次に,このモデルをTaube-Netto,M.の方法を援用して解析し,呼の処理待ち時間,プロセッサ内滞留呼数の評価式を与える.
著者
坂田 一志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J57-D, no.5, pp.284-291, 1974-05-25

あるソフトウエア(コンピュータシステムにおけるハードウエアに対し,製品としてのプログラム群の総称)に含まれるバグの個数は,マクロに考えた場合,プログラム中に潜在するバグの数を統計的に処理し,又推定することができる.ソフトウエアを製品として出荷する際に,従来から検査を実施しているが,更に一歩すすめて,製造過程に検査と類似の作業を実施し,その時点での品質推定を行うことを動的な予測:先取り評価手法(Quality Probe)〔QP〕と呼称して実施した.本論文では,QPを実施するにあたり,サンプリングの方法,製造過程における実施時期,実施回数,品質の評価方法,について述べた.次にこの手法を用いての実施例をあげ,これにより実際のバグ数の推定を行い,生産工程のフォローアップ,製造完了日の推定,を行うなどにより,ソフトウエア製作上,極めて有効な手段であることを確認した.
著者
山田 光穂 福田 忠彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J69-D, no.9, pp.1335-1342, 1986-09-25

視線の動きから画像を分折する試みを行っている.そのためには,視線の動きを視対象から情報を受容するための成分と,視対象を移動するための成分に分離する必要がある.前者を注視点と呼び,その注視点をここでは,眼球運動の随従運動の性質から定義した.すなわち眼球運動速度の5度/秒をしきい速度として注視点を分離するというものであり,その結果,視線の動きを注視点と注視点間の移動成分に明確に分離することが可能となった.また,この注視点の定義を組み込んだ注視点情報分析装置(Vision Analyser)を開発し,視線の動きをリアルタイムで総合的に分析することが可能となった.更に,このVision Analyserを用いた分析例としてVDT画像と一般動画像の見方の違いおよび芸術方面への応用例として写楽の浮世絵の分析の参考資料となった実験結果についても併せて述べ,注視点の定義が妥当であることを示す.
著者
張 憲栄 真田 英彦 手塚 慶一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J67-D, no.5, pp.599-606, 1984-05-25

活字のような非個性的文字ではなく,個性のある美しい文字による表現手段を,柔軟に且つ容易に可能にするために,漢字毛筆字体の計算機によるパターン合成を試み,一応満足すべき成果を得た.毛筆字体では筆触の形と大きさは運筆によって様々な変化があり,運筆は書道のきまりに従って,起筆,行筆,収筆などの変化がある.本方式は,(1)運筆に従って,形と大きさがコントロールされ,毛筆の動きを正確に捉えることのできる筆触を工夫し,(2)書道のきまりに従って異なった起筆,行筆,収筆などから成り,骨格関数および肉付け関数によって,行筆部が修飾できる画を考察し,すべての画を40余種類に分け,6乃至12のパラメータ,すなわち始点の座標,方向,長さ,太さ,曲度の入力により,画を発生するプログラムをそれぞれ作成しておき,(3)これらの画発生プログラムの組み合わせにより,趣味に合った毛筆漢字パターンを会話形式で合成するものである.本研究により勢いまで表現された漢字パターンの情報圧縮としては極限まで達成されたと考えられる.
著者
青江 順一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J71-D, no.9, pp.1592-1600, 1988-09-25

キー検索の応用において,あらかじめ基本的キー集合を構築しておき,後に使用者がキーを適宜追加して拡充させる場合が多々ある.このようなキー集合に対するキー検索法を準静的検索法と呼ぶ.本論文ではこの準静的検索法に適したディジタル検索法を確立するために,複数の静的なキーのパターンマッチングに利用されていたデータ構造(ダブル配列と呼ぶ)を拡張する.本拡張法では,ディジタル検索木において分岐なしに終端のノードまで連続する遷移列をダブル配列とは別のデータ構造TAILにストリングとして格納する.そして,このダブル配列とTAILを使ったディジタル検索の検索,追加,削除アルゴリズムを提案する.キーの長さをk;ダブル配列上で冗長に定義される状態番号数をm;入力記号の種類をeとするとき,検索,削除,追加の最悪の計算時間がそれぞれO(k),O(m),O(m・e+e2)となることを示す.また,1,000個以上のキー集合に対する種々の実験結果から,このmはダブル配列に定義されるべき全状態数に対して,1パーセント以下の小さな値となることがわかった.