著者
堀川 雅人 野見 武男 杉原 誠一 中辻 直之 高山 智燮 丸山 博司
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.2727-2730, 2003-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

今回われわれは,苛性ソーダによる腐食性食道炎後の食道狭窄の1例を経験した.症例は31歳,男性.泥酔後に苛性ソーダを誤飲し,近医に入院した.腐食性食道炎の急性期治療および瘢痕狭窄に対して拡張術などの保存的療法を施行されるも,嚥下困難症状の改善は認めず,手術目的にて当科紹介となった.上部消化管造影検査,内視鏡検査において胸部上部食道から食道胃接合部までの著明な全周性狭窄と壁硬化像を認め,内視鏡の通過も不能であった.胸部MRI検査にても同様の所見であった.以上,食道の広範囲におよぶ全周性の瘢痕狭窄に対し,食道亜全摘術を施行し,再建臓器としては胃管を用いた.術後,嚥下困難は改善したが,晩期合併症としての残存食道の発癌の問題が残されており今後長期的な経過観察が必要と思われる.
著者
江本 宏史 金廣 裕道 中島 祥介 堀川 雅人 中野 博重 堤 雅弘 小西 陽一
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.820-824, 1997-10-25 (Released:2009-08-13)
参考文献数
11

症例は42歳, 女性で右季肋部痛を主訴に受診した。超音波検査にて肝腫瘍と診断, 諸検査の結果, 肝血管肉腫と診断され平成3年5月に肝右葉切除術を施行。病理学検査にて肝血管肉腫と確診された1症例を報告する。本症例は, 肝血管肉腫の原因としてあげられている, トロトラスト, 塩化ビニール等とは因果関係は認められなかった。肝血管肉腫は, 原発性肝腫瘍のなかでは比較的稀であるが, その予後は一般に不良とされている。本例も外科的切除し得たにもかかわらず, 術後20カ月目にして, 再発による腫瘍死を遂げた。本症例の経験からも, 肝血管肉腫は早期診断と広汎囲な外科的切除が, 予後の向上につながると考えられた。