- 著者
-
堀田 治
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.101-123, 2017-06-30 (Released:2020-03-10)
- 参考文献数
- 87
本稿は,知れば知るほど面白い,あるいは高い集中をもたらすような消費活動を,知識と関与で捉える研究である。ここでは特に,趣味性の強い消費や「体験消費」に焦点を置き,対象に対して極めて高関与な状態を「超高関与」と位置づける。その上で,近年の関与概念で主流となっている,関与を「動機づけられた状態」とする立場を継承しつつ,関与を「認知構造」と「活性状態」に分離することによって「活性化していない状態も関与の形態のひとつ」とする視点を提案する。すなわち超高関与を支える知識や記憶を認知構造として捉え,超高関与の時の消費者による集中的な認知構造の形成によって,関与低下後もその分野の高度な認知枠組みとして機能すると考えた。本稿ではこうした認知構造をもちながら,現在活性化していない消費者を「低関与でありながら認知や行動が超高関与並に際立っている高知識の人」と捉え,「超高関与経験層」と呼ぶ。本稿は,前半をここ20年間の関与研究の現状把握,後半を直近の成果に基づく理論研究とした。