著者
堀田 耕平 髙橋 秀徳 本田 裕也 剣持 拓未
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.83-89, 2023-06-30 (Released:2023-07-27)
参考文献数
21

Leveling surveys were conducted in Jigokudani valley, Tateyama volcano, since 2015. Subsidence was revealed to have started in 2017‒2018 when a new crater was formed at southwestern area of Jigokudani. Subsidence kept until 2020. During the one-year period from September 2020 to September 2021, ground of Jigokudani was revealed to have re-uplifted. We applied five types of deformation sources (Mogi-type spherical, finite spherical, penny-shaped, rectangular tensile fault and prolate spheroid sources) to the detected deformation. Using the grid search method and the weighted least squares method, we searched the optimal combination of the parameters of each model. Based on the c-AIC value, the penny-shaped deformation source was the best model among them. A penny-shaped inflation source with a radius of 375 m was located including southeastern area of Jigokudani valley where violent fumarole activities have been continued. Its depth was 50 m from the surface. The pressure change in the source of +0.8 MPa yields its volume change of +4800 m3. Inflation of the gas chamber beneath Jigokudani valley might have started due to increase in accumulation of volcanic gas/fluid or decrease in fumarolic activity.
著者
山本 圭吾 松島 健 吉川 慎 井上 寛之 手操 佳子 園田 忠臣 波岸 彩子 堀田 耕平 市村 美沙 森田 花織 小池 碧 古賀 勇輝 渡邉 早姫 大倉 敬宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

平成26年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」における課題「桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究」の一環として,昨年度に引き続き,2017年11月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告し,2016年11月に実施した前回測量以降の桜島火山の地盤上下変動について議論する. 水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線である.路線総延長は約24 kmであった.これらの路線を,2017年11月1日~13日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.近年の水準儀は測量精度も向上しており,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてともに±0.22 mm/km,水準環閉合差はハルタ山登山路線において時計回りに0.9 mm(許容誤差7.6 mm)となり,高精度の一等水準測量を行うことができた. 桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2016年11月に行われた測量結果(山本・他,2017)と比較することで,2016年11月から2017年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した. 計算された地盤上下変動量から,桜島北部付近の水準点において,地盤隆起(最大で4.5 mm)が生じていることが確認された.前々回から前回測量までの2015年8月・9月から2016年11月の期間においては,1年2~3ヶ月間と多少1年間よりも期間が長いものの,北岳路線のこの付近の水準点において15 mm程度の地盤隆起が測定されていた.このことを考えると,2017年11月までの1年間の桜島北部付近の隆起速度は,それ以前の1年間に比べて減少していると考えられる.一方で,桜島中央部付近においては,若干の地盤沈降(最大で-2.6 mm)が認められる. 茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,桜島北方の姶良カルデラの地下約10 kmの深さに増圧源が,また南岳地下の浅部に減圧源が推定された.2016年11月~2017年11月の期間,姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて引き続きマグマの貯留が進行していることを示していると考えられる.一方で,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向が示唆される.