著者
青見 樹 堤 瑛美子 宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J104-D, no.11, pp.784-795, 2021-11-01

小論文自動採点は,人間評価者に代わって自動採点モデルが小論文の採点を行う自然言語処理におけるタスクの一つである.近年では多くの自動採点モデルが提案されており,それぞれに異なった特徴を有している.本研究では,評価者特性を考慮した項目反応理論を用いて自動採点モデルのモデル平均を行う新たな手法を提案する.具体的には自動採点モデルを一人の評価者とみなして評価者特性を考慮した項目反応モデルを適用することで,それぞれの自動採点モデルの特徴を考慮した統合を行う.実験を通して,提案手法が単体の自動採点モデルや,単純な予測スコアの平均化手法と比べて予測精度を向上させることを示す.更に,提案手法が統合した自動採点モデルの特徴を捉え,安定したスコアの予測を行うことができることを示す.
著者
堤 瑛美子 郭 亦鳴 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.2, pp.72-83, 2023-02-01

近年,教育現場ではオンラインラーニングシステムで収集された教育ビッグデータをいかに有効に活用するかが課題となっている.人工知能分野では,これらの教育ビッグデータに機械学習手法を適用し,学習者の課題への反応を予測することにより,学習者への適切な支援を行うアダプティブラーニングが注目されている.Tsutsumiら(2021)はアダプティブラーニングのために深層学習手法と項目反応理論を組み合わせ,パラメータの解釈性をもちながら高精度な反応予測を可能とするDeepIRTを開発し,高い予測精度とパラメータの解釈性を実現している.しかし,DeepIRTでは学習者の潜在的な能力値を推定する際に最新の学習データのみを用いるために,過去の学習データを十分に反映できていない可能性がある.本研究では,DeepIRTに新たなHypernetworkを組み合わせ,学習者の過去の学習データと最新の学習データの重要性を推定することで両者のバランスを最適化しながら能力値推定を行う.評価実験では,提案手法が最先端の反応予測手法を上回る反応予測精度を示した.
著者
堤 瑛美子 塩野谷 周平 宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1O3J1201, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,教育の現場では学習者の発達を促すために個々の特性や理解度を把握することが課題となっている.これまで,学習過程の学習者の理解度やある知識の習得状態を推定する手法として Bayesian Knowledge Tracing(BKT)開発されてきた.しかし,BKTモデルでは知識の習得状態が二値または多値で表されるが,実際には知識の習得状態は連続値であるため,知識の習得状態を段階的に表現することで習得状態の正確な評価をすることは難しい.本研究では,学習者の知識の習得状態の推定精度向上のために,堤ら(2019)で提案した学習過程において知識の習得状態が隠れマルコフ過程に従って変化する項目反応モデルをBKTの一般化モデルとして提案する.提案モデルは知識の習得状態を連続値で表現し,さらに学習データから知識状態の遷移確率を最適化するため,様々な学習過程に適応させることができる.従来のBKTと提案モデルを用いて学習過程での学習者の知識の習得状態を推定し,推定精度を比較する実験から,提案モデルを用いることで推定精度が向上することが示された.