著者
塚崎 崇史 亀田 達也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.37-51, 2004-03-31 (Released:2008-12-22)
参考文献数
51

社会心理学において、エージェント・ベースト・モデルは、社会的影響過程や社会的交換などの対人・集合現象に関する研究で展開されてきた。これらの先行研究におけるモデルでは、集団極化や住み分けが発生する社会的メカニズムを明らかにしたり、また、利他行動が集団内で合理的となる状況の範囲を同定することに成功している。本稿では、これらの展開について議論した後、不確実環境下での社会的学習方略の進化可能性や、集団意思決定における多数決規則の適応価について、エージェント・ベースト・モデルを用いて検討を行った最近の研究を紹介した。そして、エージェント・ベーストの進化シミュレーションを用いた研究を行うことで、様々な社会心理学的現象に関する理論的仮説を組織的に導き出せること、また、生物学や経済学など異なった分野との交流を促進できることを議論した。
著者
亀田 達也 塚崎 崇史
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-30, 2003-09-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
17

本稿は広義の進化心理学が組織研究に対してもち得るインプリケーションを論じる.Toda(1961)の「キノコ喰いロボット」を題材に,適応的視点が人間の心理・行動のデザインを探る上で有効であることを示す.次に,人間にとっての中心的な適応問題が,集団生活における正負の相互依存構造から生まれることを論じる.本稿では,社会規範の維持を中心に,組織・集団におけるマイクロ-マクロ・ダイナミクスの特徴を適応の観点から素描する.