著者
梶原 基弘 花北 順哉 諏訪 英行 塩川 和彦 佐藤 宰 織田 雅
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.53-58, 2003

正中型の大きな腰椎椎間板ヘルニアに対するtransdural approachにつき, 経験した4症例を呈示しながら, その利点, 欠点につき論じた.高位腰椎の大きな正中型ヘルニアの症例に対してはtransdural approachは有用な手術オプションになると思われた.
著者
梶原 基弘 花北 順哉 諏訪 英行 塩川 和彦 斎木 雅章 織田 雅 中島 信明
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.7, pp.465-468, 2001-07-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1

外傷性後腹膜下腔出血は死亡率の高い疾患であり, 骨盤骨折はその原因としてよく知られているが, 腰動脈損傷によるものはきわめて稀である.症例は56歳, 男性で, 交通外傷にて腰椎圧迫骨折をきたし, 出血性ショックにて搬送された.輸液負荷にもかかわらず血圧低下, 貧血の進行がみられたために, 腹部CTを繰り返したところ, 受傷後6時間目のCTにて腰椎レベルで後腹膜下腔血腫を認めた.腹部大動脈造影にて第2, 3腰動脈から造影剤漏出像が認められた.スポンゼルおよびプラチナコイルを用いて選択的腰動脈の塞栓術を行い, 臨床症状が改善した.腰動脈は椎体辺縁を走行し椎体内や腸腰筋へ分枝を出している.圧迫骨折や腸腰筋の断裂によりこれら血管が損傷され後腹膜下腔に血腫を形成すると考えられた.後腹膜下出血は開腹手術による止血が困難であり, 塞栓術は非常に有効な手段であった.
著者
塩川 和彦 高倉 公朋 加川 瑞夫 佐藤 和栄
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.169-175, 1995 (Released:2009-03-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

くも膜下出血411例について,その発症に影響する因子をretrospectiveに解析し,労働との関連について検討した.発症時間では7時と16-17時の2つのピークがみられた.就労中発症は全くも膜下出血例の15.1%に見られ,運動,性交なども含めて,何らかの外的ストレスの関与が示唆されるものは66.7%に見られた.職務内容では,就労中発症例はその他の発症例に比較して,管理職を除く男性会社事務と肉体労働に多かった.就労中発症例はその他の発症例に比較して,高血圧症,喫煙歴,不眠の既往に有意差はみられなかったが, 40-59歳男性の就労中発症例(特に事務労働中発症例)はその他の発症例に比較して,有意に喫煙歴が高かった.労働そのものがくも膜下出血発症の原因になるか否かは未だ不明の点も多いが,就労中発症の機転として外的ストレスによる-過性の血圧上昇が示唆され,肉体的および精神的ストレス(外的ストレス)に対する個人の反応性が問題と考えられた.したがってその予防には新しい健康診断方法や健康管理が必要と思われる.
著者
梶原 基弘 花北 順哉 諏訪 英行 塩川 和彦 斉木 雅章 織田 雅
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.389-393, 2001-06-20

9年前に背部打撲の既往があり, Brown-Sequard症候群を呈した脊髄ヘルニアの症例を報告した。MRI上Th4/5レベルにおいて, 脊髄が腹側に偏位しており, その背側にクモ膜嚢胞と思われる領域を認めた.手術にて脊髄背側のクモ膜嚢胞と腹側硬膜欠損部への脊髄ヘルニアを確認し, これを整復, 硬膜形成術を行った.MRIの登場以後, 脊髄ヘルニアの報告例は増加してきており, 従来考えられてきたほど稀な疾患ではないと思われる.硬膜欠損の成因が病態の基本であるが, そのメカニズムについては推論の域をでていない.大きく, 特発性と外傷性に分類されるが, 文献的考察にてそれぞれの臨床的特徴を考察した.今回われわれが報告した症例は, 背部打撲の既往を有するものの, 特発性の範疇に入ると考えた.