著者
塩本 祥子 松村 純 森 健太郎 三秋 泰一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.337-340, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2

〔目的〕本研究では端座位における骨盤前後傾運動中の股関節,脊柱の運動について明らかにするために,各関節の角度について分析した.〔対象〕健常成人男性18名(平均年齢24.7±3.7歳)とした.〔方法〕骨盤傾斜角度,股関節角度,脊柱を上部胸椎,下部胸椎,腰椎にわけた各々の角度について,3次元動作解析装置を用いて角度変化を測定した.〔結果〕骨盤前傾運動に伴い,股関節屈曲,腰椎・下部胸椎の伸展がみられた.また,骨盤後傾運動に伴い,股関節伸展,腰椎・下部胸椎の屈曲がみられた.骨盤可動範囲と下部胸椎可動範囲で正の相関(前傾運動時r=0.47,後傾運動時r=0.54)がみられた.〔結語〕骨盤前後傾運動中の脊椎・股関節の動きは相互に影響していた.また,骨盤傾斜可動範囲と下部胸椎可動範囲に正の相関がみられたことから,脊柱の可動性と骨盤の可動範囲が影響し合うことが示唆された.
著者
橋場 貴史 狩山 信生 松田 友和 野崎 寛子 浦田 恵 竹田 幸恵 宮地 知世 神谷 正弘 西 真理 塩本 祥子 表 幹也 魚住 和代 正司 佳久 岩田 健太郎 守山 成則
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0747-C0747, 2005

【はじめに】野球選手における上腕骨・肩甲骨に付着する肩周囲筋群の弱化は,肩周囲の機能障害を引き起こす危険因子と考えられている.今回,高校野球選手の肩関節及び肘関節筋群の筋力を測定し,若干の知見を得たので報告する.<BR>【目的】高校野球選手の肩関節及び肘関節筋群の筋力を測定し,1.野球部員投球肢と非投球肢,2.野球部員と一般学生,3.痛みの有無(野球部員)で比較検討することである.<BR>【対象】石川県内公立高校5校男子野球部部員54名(投手を除く),平均年齢17.1±0.6歳,コントロール群:県内公立高校一般男子高校生39名,平均年齢16.0±0.7歳であった.<BR>【方法】今研究にあたり,各野球部監督,責任教諭及び学生たちに研究の趣旨を十分に説明し,データ収集の了承を得た.筋力測定は2004年6月から約1ヶ月間行った.使用機器はパワートラック2MMTコマンダー(NIHON MEDIX社)を使用した.測定項目は1.肩屈曲(90度),2.肩外転(90度),3.肘屈曲(90度)以上端坐位,4.肩伸展(30度),5.肩外旋(90度:2nd),6.肩内旋(45度:2nd),7.肘伸展(0度:肩外転90度)以上腹臥位の7項目とした.筋力測定は,測定項目を投球肢(利き手)及び非投球肢(非利き手)を無作為に選択し,最大等尺性随意収縮5秒間を測定した.測定前には十分に収縮(練習)を行ってから測定した.また,被検者1名に対し,測定者1名,データ記録者1名,体幹等の代償をチェックする者2名と4人一組で測定を行った.今研究前に被検者9名,測定者3名において同様の測定を行い,検者内の信頼性は0.92-0.94,検者間の信頼性は0.85と優秀若しくは良好の結果を得た上で今回のデータ収集を行った.得られた力(N)は筋力(Nm)に置き換えるため,N×m(運動軸からトランスデゥーサーまでの長さ)として求め,比較した.統計処理は,野球部投球肢群・野球部非投球肢群・一般学生利き肢群・非利き肢群の4グループ間を7項目で各々One-way ANOVAを用い,多重比較はScheffeを選択し検定を行った.有意水準5%とした.また,野球部員の中で肩及び肘に疼痛を訴える者(15名)と問題ない者(39名)に分け,投球肢群・非投球肢群・疼痛投球肢群・疼痛非投球肢群の4グループ間を7項目で各々One-way ANOVAを用い,多重比較はScheffeを選択し検定を行った.有意水準5%とした.<BR>【結果及び考察】野球部員投球肢と非投球肢は,7項目全てに有意差は認められなかった.野球部員と一般学生は,投球肢群と利き肢群で肩外旋筋力を除く全ての項目で投球肢群の筋力が有意に高値を示した.非投球肢群と非利き肢群では,全ての項目で非投球肢群が有意に高値を示した.痛みの有無は,疼痛投球肢群と投球肢群の全ての項目において有意な差は認められなかった.野球部員(野手)の投球肢筋力は一般学生に比し高値であったが,外旋筋力のみ同値を示し,全体的な割合から低下している傾向を示した.また,肩・肘における疼痛の有無は,今回の結果から投球肢筋力の問題ではないことがわかった.