著者
増井 幸雄 板橋 愛宜 石井 暁 伴 文彦 井上 栄
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.707-713, 2007-11-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

Epstein-Barrウイルスのカプシド抗原 (VCA) に対するIgM抗体検査は, 主として伝染性単核症の病原診断に使われている.本論文では, 1999~2006年の8年間に全国の医療機関から1臨床検査会社に間接蛍光抗体法によるVCA-IgM抗体検査の依頼があった約18万件の血清検体の検査結果を集計・解析した. 集計結果は, IgM抗体陽性数の年齢分布は2峰性 (乳幼児期および青年期) を示した. 年齢により男女差があり, 乳幼児では男性が多く, 青年では女性が多かった. IgM抗体陽性数の月別変動を見ると, 青年層で春から秋にかけて増加が認められた. この検査室データは, 国内の青年層において伝染性単核症が発生していることを示唆している. 今後, 乳幼児期より症状が重い青年層での同症発生の実態を知るための疫学調査が必要であろう.