著者
大久保 柚希 村岡 丈一郎 佐藤 美恵 橋本 直己
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.394-400, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
21

近年,VR技術の発展により,容易に人の外見を変化させる体験が可能となった.それに伴い,アバタを用いてVR空間に没入することで自己認知が変化し,重さ知覚にも影響を及ぼすことが示されている.しかし,それらの報告の多くは,限定的なアバタを用いた定性的な評価に留まっている.そこで本研究では,ユーザがアバタに抱く力強さの印象を数値で表現するための指標を作成し,多様なアバタを用いてVR空間に没入したときに,ユーザが受ける力強さの印象と重さ知覚の関係を定量的に分析する.実際の室内環境を再現した仮想空間にアバタを用いて没入した状態で,一定の重さの物体を持ち上げる実験を行った結果,アバタの力強さの印象と,同じ物体をより軽く感じる重さ錯覚の間には,特定のアバタに依存しない相関関係が確認できた.