著者
肥後 温子 大久保 路子 島崎 通夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.178-184, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1) マイクロ波と伝熱とで加熱したパンの性状を試験した結果, マイクロ波加熱によって硬化したパンおよびパン粉体は, 次のような特色を示した.(1) 膨潤度がかなり高く, α-化度もわずかに高い.(2) でんぷん成分, とくにアミロースの溶出率が高く, その一部は膜化している.(3) でんぷん粒の変形や破損が大きいが, 粒径はむしろ伝熱加熱の場合より小さい.2) でんぷん-水モデル系をマイクロ波加熱した場合の硬度は非常に高く, またその粉体の分析結果はパン粉体の結果と類似していた.したがって, パンをマイクロ波加熱するとでんぷん成分に特有の変化がおこり, 硬化現象をもたらすものと考えられる.