著者
大原 貴弘
出版者
日本顔学会
雑誌
日本顔学会誌 (ISSN:13468081)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.23-31, 2023-12-26 (Released:2023-12-26)
参考文献数
20

日本では古くから、顔などに対して「面影」という概念が用いられてきた。面影は、知覚している顔と記憶している顔間の類似性の相互的評価を通して立ち現れる主観的体験である。本研究ではまず、データ駆動型の探索的手法である「逆相関法(reverse correlation method)」を用いて、「面影のある顔」の可視化を試みた(研究1)。具体的には、複数の子ども顔画像のなかから、特定の有名人の現在の面影を感じる画像を選択する課題を実験参加者に課した。その結果、有名人の面影を、子ども顔画像のなかに見出す作業を繰り返すことで、「有名人の現在の面影のある子ども顔」を一定の精度で可視化できた。さらに、画像選択において重視されたピクセル領域について分析を行った結果、面影を規定する視覚的特徴は、目や口、輪郭などに分布することも示された。次に、可視化された顔画像が、第三者から見ても「有名人の面影のある顔」として認知されるか、および有名人の実際の幼少期の顔とどのくらい似ているかについて、評価調査を行った(研究2)。その結果、高い精度に基づいて可視化された画像は、第三者からも「面影のある顔」として評価されており、面影が集団内である程度共有されうることも示された。さらに、高い精度に基づいている場合には、有名人の実際の幼少期の顔よりもさらに面影を色濃く帯びた顔を生成できる可能性も示された。