著者
伊藤 資浩 河原 純一郎
出版者
北海道心理学会
雑誌
北海道心理学研究 (ISSN:09182756)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-13, 2019-03-31 (Released:2019-03-25)
参考文献数
27
被引用文献数
2

対人評価において,被評価者の衛生マスク(以下,マスク)の着用は,印象や魅力の知覚に影響することが明らかにされている(Miyazaki & Kawahara, 2016)。本研究は,マスクを着用している人物に対する印象や顔の魅力の知覚に及ぼす影響について,マスクの色による違いに着目する。具体的には,黒もしくは白色のマスクを着用している人物に対する潜在的・顕在的な態度(例えば,良い‐悪い)及び顔の魅力を調査・測定した。その結果,潜在的・顕在的態度の両方で黒いマスクを着用している人物に対して非好意的な態度が確認された。また黒いマスクの着用者の顔の魅力は,白いマスクの着用者に比べて低い場合があった。これらの結果は,(1)印象や顔の魅力の知覚にマスクの着用だけではなく,マスクの色特有の影響が生じること,(2)慣れ親しみの高い従来のマスク(白色)に比べて,慣れ親しみの低いマスク(黒色)を着用している人物に対して非好意的に知覚されることを反映している。
著者
横田 晋大 結城 雅樹
出版者
北海道心理学会
雑誌
北海道心理学研究 (ISSN:09182756)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.11-26, 2010-03-31

近年,適応論に基づく研究において,人が様々な種類の外集団からの脅威に対抗するために,脅威の種類に応じた多様な心理メカニズムと行動傾向を持つ可能性に注目が集まっている。本研究では,外集団脅威への適応心理メカニズムの性差を検討した。男性には,外集団からの資源の強奪や暴力 (“妨害脅威”) に対抗するための心理メカニズムが,女性には,外集団から未知の病原体の感染 (“感染脅威”) に対抗するための心理メカニズムが備わっているという仮説を立て,実験室実験にて検証した。大学生166名が参加し,事前に外集団脅威の状況手がかりの有無と種類(妨害vs. 感染)を操作した後,最小条件集団状況で報酬分配課題を行った。その結果,予測通り,妨害脅威条件では男性でのみ,感染脅威条件では女性のみで差別行動が見られた。しかし,予測と異なり,脅威の手がかりが存在しない統制条件においても,男性の差別行動が見られた。
著者
江上 智章 橋本 久美
出版者
北海道心理学会
雑誌
北海道心理学研究 (ISSN:09182756)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.9-20, 2020-03-31 (Released:2020-03-26)
参考文献数
31

高齢期では身体機能の低下に加え,社会的役割の喪失や親しい人との離死別など,様々な喪失を経験する。それらの喪失体験を受容する際に生じる抑うつ状態期間の短縮や,配偶者などの死から生じる社会的孤立状態の予防,身体機能低下への適応的な行動変化の発生の備えとして,加齢の受容が必要であると考えられる。本研究では高齢者93 名に質問紙調査を行い,加齢の心理的受容を促進する要因の検討を行った。その結果,加齢の受容には主観的幸福感,経済状態が関連することが示唆された。また,クラスター分析の結果から加齢の受容度が高い高齢者の特徴として,主観的幸福感と経済状態の満足度が高いことが見られた。加えて,一定期間内に複数のストレスフルなライフイベントを経験することは,加齢の受容を妨げる可能性が示唆された。
著者
鎌谷 美希 瀧本-猪瀬 彩加
出版者
北海道心理学会
雑誌
北海道心理学研究 (ISSN:09182756)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-15, 2021

<p>ヒトを含む社会的動物は,同種他個体と親密で永続的な関係(以下,社会的絆)を築く。この社会的絆を強く築く個体は繁殖において有利であることが報告されてきている(e.g., Cameron, Setsaas & Linklater, 2009)。また,de Waal & Luttrell(1986)では,個体は自分と類似した集団内の他個体を親和的な相互作用の相手として選び,社会的絆を形成し始める可能性が示唆されている。実際,ウマ(Equus caballus)においてはより年齢の近い個体間で強い社会的絆が築かれる(ワイルズ,2019)。しかし,ウマが他個体と相互作用をする前に,似た年齢の個体を選好しているかどうかは明らかになっていない。本研究では,ウマが,年齢の異なる未知のウマの顔写真(幼若・同齢・老齢)を単呈示された時に,同年齢の同種他個体に対して視覚的選好を示すかどうかを検討した。その結果,写真のウマの年齢は参加個体の刺激に対する注視行動・接近行動・接触行動に影響しなかった。これらの結果は,ウマは相互作用をする前に,その顔写真に対して同齢他個体への視覚的選好を示さないことを示唆している。</p>
著者
鎌谷 美希 瀧本-猪瀬 彩加
出版者
北海道心理学会
雑誌
北海道心理学研究 (ISSN:09182756)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-15, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
33

ヒトを含む社会的動物は,同種他個体と親密で永続的な関係(以下,社会的絆)を築く。この社会的絆を強く築く個体は繁殖において有利であることが報告されてきている(e.g., Cameron, Setsaas & Linklater, 2009)。また,de Waal & Luttrell(1986)では,個体は自分と類似した集団内の他個体を親和的な相互作用の相手として選び,社会的絆を形成し始める可能性が示唆されている。実際,ウマ(Equus caballus)においてはより年齢の近い個体間で強い社会的絆が築かれる(ワイルズ,2019)。しかし,ウマが他個体と相互作用をする前に,似た年齢の個体を選好しているかどうかは明らかになっていない。本研究では,ウマが,年齢の異なる未知のウマの顔写真(幼若・同齢・老齢)を単呈示された時に,同年齢の同種他個体に対して視覚的選好を示すかどうかを検討した。その結果,写真のウマの年齢は参加個体の刺激に対する注視行動・接近行動・接触行動に影響しなかった。これらの結果は,ウマは相互作用をする前に,その顔写真に対して同齢他個体への視覚的選好を示さないことを示唆している。