著者
筒井 貴士 我満 拓弥 大城 卓 菅原 晃平 永井 隆広 渋木 英潔 木村 泰知 森 辰則
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.125-155, 2014
被引用文献数
1

近年,国会や地方議会などの会議録が Web 上に公開されている.会議録は,首長や議員の議論が書き起こされた話し言葉のデータであり,長い年月の議論が記録された通時的なデータであることから,政治学,経済学,言語学,情報工学等の様々な分野において研究の対象とされている.国会会議録を利用した研究は会議録の整備が進んでいることから,多くの分野で行われている.その一方で,地方議会会議録を利用した研究については,各分野で研究が行われているものの,自治体によりWeb上で公開されている形式が異なることが多いため,収集作業や整形作業に労力がかかっている.また,各研究者が重複するデータの電子化作業を個別に行っているといった非効率な状況も招いている.このような背景から,我々は多くの研究者が利用することを目的として,地方議会会議録を収集し,地方議会会議録コーパスを構築した.本稿では,我々が構築した地方議会会議録コーパスについて論ずる.同コーパスは,Web上で公開されている全国の地方議会会議録を対象として,「いつ」「どの会議で」「どの議員が」「何を発言したのか」などの各種情報を付与し,検索可能な形式で収録した.また,我々は会議録における発言を基に利用者と政治的に近い考えをもつ議員を判断して提示するシステムを最終的な目的としており,その開発に向けて,分析,評価用のデータ作成のために会議録中の議員の政治的課題に対する賛否とその積極性に関する注釈付けをコーパスの一部に対して行った.本稿では,注釈付けを行った結果についても報告する.
著者
大城 卓寛 塩谷 あや 横谷 浩爾 佐藤 友紀 柴崎 好伸 佐々木 崇寿
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.121-129, 2002-06-30

ヒト乳歯の生理的歯根吸収の細胞機構を調べるため, 破歯細胞における液胞型H<SUP>+</SUP>-ATPase, カテプシンK, MMP-9, RANKLの免疫組織化学的発現を調べた.H<SUP>+</SUP>-ATPase, ライソゾーム性のタンパク分解酵素であるカテプシンK, MMP-9はそれぞれ, アパタイト結晶の脱灰と1型コラゲンの分解に重要な酵素群である.さらにRANKLは, 破骨細胞の形成と機能発現に重要な調節分子の一つである.破歯細胞は吸収中の歯根象牙質表面に, 波状縁と明帯を広範囲に形成した.免疫電子顕微鏡像では, 液胞型H<SUP>+</SUP>くATPaseの発現を示すコロイド金粒子の分布が破歯細胞の空胞の限界膜と波状縁の形質膜に沿って観察された.破歯細胞におけるカテプシンKは, 空胞内, ライソゾーム内, 波状縁の細胞間隙, および吸収面の象牙質表層の基質に観察された.破歯細胞におけるMMP-9の発現はカテプシンKの発現と類似していた.RANKLは象牙質吸収面に局在する単核の間質細胞と破歯細胞の両方に見出された.これらの結果から, (1) 破歯細胞はH<SUP>+</SUP>-ATPaseによるプロトンイオンの能動輸送によるアパタイト結晶の脱灰, そして (2) カテプシンKとMMP.9の両方による象牙質1型コラゲンの分解に直接関与しており, (3) 破歯細胞の分化と活性は, 少なくとも部分的には, RANKLによって調節され, さらに (4) RANKLは吸収組織において単核の間質細胞と破歯細胞自身によって生成されていることが示唆された.このように, ヒト乳歯の生理的歯根吸収における細胞機構は破骨細胞性骨吸収機構と極めて類似していることが明らかとなった.