- 著者
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吉野 彰
大塚 健司
中島 孝之
小山 章
中條 聡
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 日本化学会誌 : 化学と工業化学 = Journal of the Chemical Society of Japan : chemistry and industrial chemistry (ISSN:03694577)
- 巻号頁・発行日
- vol.2000, no.8, pp.523-534, 2000-08-10
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
-
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携帯電話,ノートパソコン,カムコーダー等の電源として広く用いられているリチウムイオン二次電池の開発経緯と技術動向について述べる。導電性高分子ポリアセチレンの研究がこのリチウムイオン二次電池の開発の原点であった。ポリアセチレンを二次電池の負極に用いようとの試みが炭素質材料負極へと展開し,ほぼ同時期に見いだされた正極材料であるリチウムイオン含有金属酸化物LiCoO<SUB>2</SUB>と組み合わされ,現在のリチウムイオン二次電池が完成した。商品化されて以降の電池特性の改良,特に容量の向上は著しく,現在では商品化当初の約2倍になっている。この容量向上は主として負極炭素質材料の改良により達成されてきた。この背景にはπ電子化学という新しい学問領域の進歩があり,次々に新しい炭素質材料が開発されてきた。<BR>今後,これらの改良開発によりリチウムイオン二次電池の特性はさらに改善されていくものと思われる。