著者
大塚 寿子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.29, pp.p227-243, 1989-03
著者
髙木 美紀 中埜 粛 大塚 寿子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.190-199, 2022-04-25 (Released:2022-06-02)
参考文献数
22

目的:インスリン療法中の患者を特定施設入居者生活介護対象軽費老人ホームで受け入れる際の問題点を明らかにする.方法:特定施設入居者生活介護対象軽費老人ホームで初めてインスリン療法中の糖尿病患者を受け入れる際に職員の糖尿病に対する意識アンケートを行った.患者受け入れ後,回答を参考に職員対象糖尿病教室を開催するなど現場の要望に応じた受け入れ体制の整備を行った.6カ月後にアンケートを実施し受け入れに対する職員の意識を再度確認した.結果:受け入れ前の初回アンケートで看護師は受け入れに消極的,介護士は積極的であった.患者は入居後低血糖や虚血性心疾患を疑わせる多様な訴えを頻発し対応に難渋した.患者の快適な生活を実現するために職員の糖尿病知識教育が必要と考えられたため介護士対象に糖尿病専門医による糖尿病教室を行ったところ,徐々に適切な生活介護が可能となり施設内の医療介護連携体制が整えられた.入居6カ月後に行ったアンケートでは,介護士の根拠なき過度な楽観的意見は減少したが,看護師は受け入れに消極的で介護士が積極的であるという傾向は初回同様に認められた.結論:介護施設のインスリン療法中患者受け入れに対する看護師と介護士の認識の差異が明らかになった.患者が安心して施設生活を送れる支援を実現するためにはこの差異を埋め,患者の安全を確保する必要がある.本症例では糖尿病専門医による介護士対象の医学知識教育がある程度有効であったが,依然として両者の認識の差異は大きかった.対策として,介護施設での糖尿病教育制度を設けること,教育を受けた介護士の血糖測定を可能にすること,各施設で対応可能な治療方針の患者を適正に選定すること,入居後の医師による医療指示を単純化すること,施設内コミュニケーションを促進してよりよい医療介護連携体制を構築することを提案する.