- 著者
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大塚 登
- 出版者
- The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.3, pp.243-249, 1997-07-20 (Released:2010-06-22)
- 参考文献数
- 14
幼児の構音発達において/r/は/s, dz, ts/とならんでもっとも獲得の遅れる音, /d/は比較的早期に獲得されるとされてきた.しかし, 小学校入学前後の子どもでは聴覚弁別能力の未発達により/r/と/d/の誤りは互いに密接に影響しあうため, 別個に考えるより同一の誤りととらえるべきこと, 構音の誤りが書字にもあらわれるという報告もなされている.本報告では書字検査をもちいて小学校1, 2年生におけるラダ行音の構音獲得の状態をしらべた.1年生では7月では7%+α, 9月では約6%, 2年生では4%の子どもがまだ構音確立していないという結果をえた.同時に, 構音確立したあるいは確立間近の群では検査語間の難易度により誤答率に差が生じたが, 確立していない群では一様だった.検査語間の難易度と誤答率の関係から, 構音発達の予測の可能性が示唆された.