著者
大宮 有博
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 人文・自然科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; HUMANITIES and NATURAL SCIENCES (ISSN:03850056)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.15-28, 2015-07-31

本論の目的は,コーネル・ウエストがレイシズムについてこれまで論じてきた内容を総括することである。本研究により明らかにするウエストのレイシズム論の要諦は,白人優越主義の萌芽に黒人に対する経済的搾取の意図はなかったということ,また被差別者が背負わされた「ニヒリズム」に向き合うことこそ,レイシズムの解決にあたって不可欠だということである。
著者
大宮 有博
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.71-85, 2014-09-30

本論ではコーネル・ウエストの視点から,W. E. B. デュボイス,マーティン・ルーサー・キングJr.,マルコムXという3人のアフリカンアメリカンの社会思想を俯瞰する。その上でアフリカンアメリカンの社会思想がアフリカンアメリカンの経験を基に,彼らの苦境の原因であるレイシズムという悪を批判し,その苦境からの解放に強い関心を抱いていたことを明らかにする。デュボイスはアフリカンアメリカンの抱える問題を二重意識という概念で表し,「才能ある十分の一」による解放を唱えた。またキングは,アフリカンアメリカン教会の神学を基盤にしてリベラル・キリスト教思想やガンジーの非暴力,預言的市民宗教を取り込んで公民権運動を道徳的に導いた。最後にマルコムXはアフリカンアメリカンに,精神的回心を強く勧めた。彼はアフリカンアメリカンたちの怒りを正しい方向に導くよう努めた。またウエストは,アフリカンアメリカン文化が社会変革の力を持つことを明らかにした。