- 著者
-
三田 有紀子
大島 千穂
續 順子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.25, 2013
[目的] 平成21・22年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」の一環として実施したアンケートから、本研究では東海地域を中心とした年中行事および行事食について調査し、五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)の行事食に注目をしてその現状と継承の実態を世代間別に明らかにすることを目的とした。[方法] 対象者は、東海三県である愛知県、岐阜県、三重県在住の女子学生492名とその家族400名(親338名、祖父母62名)、合計892名を対象にアンケート回答者の属性と年中行事及び行事食の認知・喫食状況についてアンケート調査を実施した。[結果]五節句における行事では、人日、上巳、端午、七夕で各世代80%以上の高い認知度がみられたのに対し、重陽で各世代20%以下と非常に低い認知度であった。各世代間では、人日、上巳、七夕で学生世代の認知度が親世代と比べて有意に高くなり、七夕では祖父母世代とも同様の結果となった。一方、行事の経験は上巳で学生世代が親世代より有意に高くなり、各世代とも認知度の低い重陽では祖父母世代が他世代と比較して経験度が高くなった。また、各行事食の喫食経験では学生世代と他世代で経験度の違いがみられ、その多くは学生世代の喫食経験が他世代と比べて低下していた。しかし、人日の七草粥、上巳のもち・菓子およびすし、端午のちまきと柏餅では学生世代で60%程度の喫食経験が認められたことから、行事の認知が行事食の喫食経験を維持していると推察され、行事の認知度の高い七夕では同様の傾向がみられなかったためこのような関連性が確立されていないと考えられる。